向井理演じる“完璧男”の弱さに視聴者釘付け 『きみが心に棲みついた』星名役で見えた意外な一面

 自己評価が極めて低いために他人の前で挙動不審になってしまう主人公“キョドコ”を、吉岡里帆が演じるドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)。本ドラマにおいて、これまでとは違う役柄に挑戦している吉岡の演技にも注目が集まっているが、それ以上に話題となっているのが、キョドコの大学の時の先輩・星名漣を演じる向井理だ。

 星名がキョドコへ行う仕打ちは回を重ねるごとにエスカレート。星名に想いを寄せる飯田(石橋杏奈)を利用する姿も含め、そのドSっぷりはSNS上でも大きな話題となった。向井の演技を「新境地」と呼ぶ声もあるが、ライターの麦倉正樹氏は小首をかしげながら次のように熱弁する。

「向井さんの出演作で印象的だったのは2015年放送の『遺産相続』(テレビ朝日)です。研修医の佐藤が、葬儀会社を経営する富豪一家に婿入りし、相続争いに巻き込まれていくというストーリーなのですが、向井さんの演技に最後の最後まで踊らされたのを覚えています。向井さんが演じる佐藤は、妻となる楓(榮倉奈々)にも優しく、とにかく爽やかな好青年なんです。でも、時折見せる不穏な笑みや表情に、佐藤が”遺産狙い”で楓に近付いたんじゃないかと思わず疑ってしまっていました。結果的に、佐藤にはそんな打算はなく、“本当にいい人”だったのですが、どこか不穏な空気をまとっていました。NHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』で演じた村井茂など、優しい人のイメージがある向井さんですが、映画『Paradise Kiss パラダイス・キス』の小泉譲二役が予想以上にハマっていたように、優しさの裏にある“何か”を表現するのが巧みな俳優と言えるかもしれません」

 また、ライターの佐藤結衣氏は、『きみが心に棲みついた』の星名役について次のように語る。

「“表面的な”星名のイメージは、なんでも卒なくこなし、女性にも人気がある、“完璧な男性像”です。その完璧さは、もしかすると、向井さん自身のイメージにも近いかもしれません。そんな星名の背景が回を追うごとに明らかになっていきますが、第7・8話から、人間としての生々しい弱さを星名は見せていきます。これまで完璧だと思っていた人が見せたこれまでとは違うギャップに、見入ってしまった視聴者も多いのでは。星名のイメージが崩れ落ちていくさまを体現した向井さんの演技は本当に素晴らしかったです。番宣などでも積極的に自分のプライベートを話されている方ではないだけに、どこか“生活臭”がしない俳優さんだったのですが、星名役を通して人間としての弱さ、意外な顔を観ることができたのは視聴者にとって新鮮だったのではないでしょうか」

 ドS男として序盤こそ反感を買った星名だが、吉崎(桐谷健太)にはない、女性が惹かれる一面を彼は持っていると佐藤氏は続ける。

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