キャストを支える“名芸人”に注目! 関西人から見た『わろてんか』の面白さ

関西人から見た『わろてんか』

 また、途中退場となってしまったが、太夫元・寺ギンを演じた兵動大樹(矢野・兵動)も忘れられない。『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)にて、「一等兵」や「たっくん」などでMVS(Most Valuable すべらない話)に多数選ばれてきたひょうきんな彼が挑んだ悪役・寺ギンは、本作全体を通しても、かなりスパイスの効いた役者ではないだろうか。

 気品あるてんや、優しくもどこか頼りなかった藤吉など、放送当時やわらかな雰囲気を漂わせるキャラクターばかりだった中に登場する寺ギンは、ずしりと重い岩のような存在に。彼が効かせる“にらみ”や、響き渡る怒鳴り声は任侠映画ばりの迫力を醸し出しており、近年映画やドラマに挑戦する様々な芸人の中でも、抜きん出た才能が感じられた。しかし、兵動が本作公式サイトのインタビューで明かしたところによれば、役者の経験が少なく、セリフを覚えるのに必死だったという。

 寺ギンが去った回の後、「寺ギン、どっか行ったよ。皆さん、寺ギンロスには………ならへん、ならへん。」と兵動は自身のTwitterでコメントしていたが、現在の風太からはどこか寺ギンを感じさせるところがある上、SNSでも「寺ギン元気かな……」と寂しさの声が上がっている。やはり本作で彼は大きな爪痕を残していったと言えよう。

 早いもので、残すところあと約20話となり、先日クランクアップも果たした『わろてんか』。これまで、藤吉の身勝手さにいら立ちを覚えたこともあったが、ラストスパートに向け、いつも笑っていたてんが息子・隼也(成田凌)を勘当し、親としての厳しさを見せたり、戦争パートに突入したりと、ストーリーのテンポは上昇し続けている。これからシビアな展開を見せていくであろうが、脇で支える芸人や演者たちが、変わらず笑いを添えてくれることに期待したい。

(文=阿部桜子)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『わろてんか』
出演:葵わかな、松坂桃李、濱田岳、広瀬アリス、徳永えり、大野拓朗、前野朋哉、岡本玲、藤井隆、内場勝則、高橋一生、松尾諭、成田凌、水上京香ほか
作:吉田智子
音楽:横山克
平成29年10月2日(月)~平成30年3月31日(土)全151回(予定)
<総合>
(月~土)午前8時~8時15分/午後0時45分~1時[再]
<BSプレミアム>
(月~土)午前7時30分~7時45分/午後11時~11時15分[再]
(土)  午前9時30分~11時[1週間分]
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/warotenka/

 

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