桐谷健太、“人から愛される力”を発揮! 『きみが心に棲みついた』吉崎役の魅力を読む

 「芝居って結局、自分以上のものはできない、全ては自分の中から出てくるものだと思ってます」とは、かつて桐谷がインタビューに答えたときの言葉だ(引用:cinemacafe|桐谷健太インタビュー 「人生を変えた」のは鬼監督・井筒和幸からのムチャぶり?)。鬼監督とも言われている井筒和幸監督に怒鳴られ、無茶振りをされ、厳しい環境から俳優として生きる道を見出してきた桐谷。試練に対して果敢に立ち向かう吉崎と重なる。きっと、桐谷自身が持つ誠実さ、人から愛される力が、吉崎というキャラクターをより魅力的に見せているのだろう。第7話は、桐谷の人間力が吉崎の言動を納得度を高めたように思う。

 だが、これでハッピーエンドというわけにはいかない。このドラマの見どころは単純に吉崎が善で、星名が悪とは言い切れないこと。キョドコだけが星名から逃げればいいという「そんな簡単な話ではない」というキョドコの一言に尽きる。星名が生きていくためには、キョドコがいなくてはバランスが取れないところまできている。吉崎が本当の意味でキョドコを助けたいというのであれば、星名にも向き合う必要があるのだ。

 そんな星名を負の連鎖に巻き込んだきっかけともいえる母親(岡江久美子)のもとへ、なぜか飯田(石橋杏奈)が訪ねていく。飯田も、星名に翻弄された結果、ねじれた愛情の迷路に足を踏み入れてしまったひとり。自分がなぜそうなったのか、どこに向かっているのか、どうしたいのか……その目は見開いているが、光のない濁ったガラス玉のようだ。真っ黒な瞳のこっち側の共依存を解き、まっすぐな視線のそっち側と共存していくために必要なものとは? 吉崎の試練はまだまだ続きそうだ。

(文=佐藤結衣)

■放送情報
TBS火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』
毎週火曜22:00〜放送
出演:吉岡里帆、桐谷健太、石橋杏奈、ムロツヨシ、鈴木紗理奈、瀬戸朝香、向井理
原作:天堂きりん「きみが心に棲みついた」「きみが心に棲みついたS」(祥伝社フィールコミックス)
脚本:吉澤智子、徳尾浩司
プロデューサー:佐藤敦司(ドリマックス・テレビジョン)
演出:福田亮介(ドリマックス・テレビジョン)
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/kimisumi/

関連記事