バクシーシ山下 × さやわか『アイドルキャノンボール』対談 「腹黒い気持ちで女の子と接していた」

山下「渡辺さんはエロさを基準に女の子たちを選んではいない」

さやわか:こういう企画を通してしまう渡辺さんって、本当に変わっていますよね。人に夢を見せるのがアイドルだと仮定すると、ここでは逆に夢破れる人たちにスポットを当てているわけで。本音のところでは、アイドルの子たちをどう思っているんですかね?

山下:難しいですね。仕掛けを考えながら自分で演じてる部分もあるから、根っこで何を考えているのかはわからないです。

さやわか:渡辺さんは以前、「僕は自由に泣くことができる。場合によっては、泣けば、みんな納得すると思って泣ける」といった趣旨のことを言っていて、どうかしてると思いました。

山下:サイコパスですね(笑)。そんな人のこと、わかるわけないですよ。でも、女の子たちの反応があるから、泣きやすいというのはあるのかもしれない。プロデューサーの高根さんはどう思います?

高根P:女の子たちに自己を投影しているところはあると思います。彼は早稲田大学を卒業して、その後どうしても音楽の仕事がしたくてレコード会社を受けたんだけれど、全然受からなくて、それがショックだったらしいんです。「俺の人生終わった」とまで言っていました。でも、そこからいっぱい失敗をしながら、なんとか自力で這い上がってきたんですね。だから、女の子を採用するときも、歌がうまいとかルックスが良いとかより、雑草みたいに強く生きようとしている人を選ぶ傾向があるんです。仕掛けをしながらも、人のそういう部分を見せていきたいというのはあるんでしょうね。

さやわか:なるほど、たしかにそういう意味では、渡辺さんのプロデュースするアイドルは、歌がうまいとかダンスがうまいとか、そういう次元のものではないですよね。

山下:そういえば撮っている最中も、歌とかダンスに対しての具体的な指摘は、たぶん一回もしていなかったですね。

さやわか:「大きい声出して!」とかでしたよね(笑)。撮影する側としては、ああいうタイプの女の子たちは口説く対象としてどうなんですか?

山下:うーん、総じて言えるのは、みんな「エロくはない」ってことですね。僕がアイドルを知らないだけかもしれないけれど、少なくとも渡辺さんはエロさを基準に女の子たちを選んではいないと思います。

さやわか:あはは。でも、渡辺さんのプロデュースするアイドルって、結局のところ、生味の感情みたいなところが見えたときに、「あれ? もしかしたらこの子は可愛いのかもしれない」と感じてしまうところに魅力があるわけで、そういう意味では彼女たちの良さが滲み出た映画ではあったのかもしれません。

山下:滲み出ていますかね(笑)?

(取材・文=松田広宣)

■公開情報
『劇場版 アイドルキャノンボール2017』
渋谷HUMAXシネマほかにて公開中
出演:BiS、BiSH、GANG PARADE、WACKオーディション参加者、渡辺淳之介、高根順次、平澤大輔、今田哲史、カンパニー松尾、バクシーシ山下、アキヒト、梁井一、嵐山みちる、岩淵弘樹、エリザベス宮地ほか
プロデューサー:渡辺淳之介(WACK)、高根順次(SPACE SHOWER TV)
監督:カンパニー松尾
製作:WACK INC. SPACE SHOWER NETWORKS INC.
配給:日活
公式サイト : http://idol-cannon.jp

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