亀梨和也、“神”林遣都を追い詰める! 『FINAL CUT』第3話で描かれた“正義”

 そして、暴言を吐くまでの過程を知らず、「ぶっ殺す」という一部の事実だけをすくい取って報道してしまった小池もまた、彼女たちに利用された一人。もともと小池は、自身の“正義”に反する者の個人情報をネットの掲示板に晒し、徹底的に叩き潰していた。それゆえに、ネット上では“神”と崇められている。今回の件も、彼女たちに転がされているとは知らない小池が、“悪”を断罪したと信じきっていた。

 そして、いじめの主犯であり、沢渡を陥れた彼女たちもまた、自分たちの身勝手な“正義”を貫いていたに過ぎない。彼女たちの目には、いじめのターゲットにしていた生徒を、沢渡が“えこひいき”していたように映っていた。毎日、同じように厳しい練習に耐え、頑張っている私たちは選ばれず、あの子“だけ”ソロパートなんて許せない。先生は本来、生徒に平等に接しなきゃいけないはずなのに……。あの子だけを選ぶ先生も、選ばれるあの子も、彼女たちにとっては裁くべき“悪”なのである。

 同じ事実でも、見る側面によって見え方は歪んでいく。それは、慶介の母の事件もまた然りなのかもしれない。報道された情報だけが、その物事のすべてだと思い、魔女狩りをする私たち視聴者もまた、見方によっては“正義”だが、一方では紛れもない“悪”である。慶介が小池に突きつけた“ファイナルカット”には、今までネット上では“正義”として“悪”を裁いてきた小池自身が、“悪”となっている姿が映し出されていた。新宿中央署の副署長・高田清一郎(佐々木蔵之介)が、百々瀬に放った言葉「このご時世、出る杭は打たれる、どころじゃない。足元めり込むまで、叩き潰されます」が、頭をよぎる。もしこの映像が公開されたら、ネット民から見た小池の姿は、“神”から“出る杭”に変化することだろう。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『FINAL CUT』
毎週火曜21:00~21:54(カンテレ・フジテレビ系全国ネット)
出演:亀梨和也、藤木直人、栗山千明、橋本環奈、林遣都、高木雄也(Hey! Say! JUMP)、やついいちろう、杉本哲太、裕木奈江、鶴見辰吾、升毅、水野美紀、佐々木蔵之介
脚本:金子ありさ
音楽:菅野祐悟
演出:三宅喜重(カンテレ)、日暮謙
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ)
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/finalcut/index.html

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