『99.9』第2話で早くもシリーズの核心に ネットを騒がせた疑問の行方は?

 ところで第1話の放送後、ネット上を騒がせた「なぜ真犯人が罪を犯した理由が描かれないのか」という疑問。今回の第2話でも、非常に重要な事件の真相を抱えたまま、真犯人の男が命を落としていたと語られるだけで、一切姿を現さない。そこには今回のシーズンの、むしろこのドラマの最も大きなテーマを感じることができる。それは深山自身が語る「事実を知りたかっただけ」ということだ。

 事実の裏にあるドラマ性ではなく、あくまで主人公たち弁護士と依頼人の視点から見てわかる「誰が罪を犯したか」「依頼には罪を犯したのか否か」ということに焦点が当てられる。真犯人の動機というものは、真犯人当人の心の中にあるものであり、検察が事件を立証するための証拠として存在するものに過ぎない。事実という表層の先にある“何故”という内面は、弁護士と無実の被疑者にとっては遠いものなのかもしれない。

 同じように、今回のエピソードで26年越しに事件の真相が明らかなことで表れてくる「赦し」の存在。事件の被害者の仏壇に手を合わせる深山と、被害者の妹から告げられる「ごめんなさい」の一言。加害者の家族が、深山自身が味わってきた“犯罪者の家族”としての人生から解き放たれることで、本作は次のステップにようやく進むことができるのだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54
出演:松本潤、香川照之、木村文乃、青木崇高、片桐仁、マギー、馬場園梓、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、渡辺真起子、藤本隆宏、首藤康之、奥田瑛二、笑福亭鶴瓶、岸部一徳
脚本:宇田学
トリック監修:蒔田光治
プロデュース:瀬戸口克陽、東仲恵吾
演出:木村ひさし、岡本伸吾
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/999tbs/

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