『全員死刑』の「急にどうした」感 小林勇貴監督は異様な原作をいかに映画化したか?
しかし、この「急にどうした」という感覚こそ、原作『我が一家全員死刑』の肝なのだ。事件の流れや要所はなぞっているが、映画と実際の事件は大きく異なる(そもそも実際の犯人は元力士の巨漢である)。しかし、それでも本作は「原作」を忠実に再現していると言えるだろう。これは大牟田4人殺害事件の映画化ではなく、『我が一家全員死刑』の映画化なのだから。本作には、あの原作にあった異様な雰囲気が確かにあった。細かい問題もあるが、ひとまずそれだけは間違いない。GOOD LUCK!
■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。
■公開情報
『全員死刑』
11月18日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷・テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本:小林勇貴
出演:間宮祥太朗、毎熊克哉、六平直政、入絵加奈子、清水葉月、落合モトキ、藤原季節、鳥居みゆき
原作:鈴木智彦「我が一家全員死刑」(コアマガジン刊)
脚本:継田淳
音楽:中川孝
配給 :日活/東京テアトル
(c)2017「全員死刑」製作委員会
公式サイト:shikei-family.jp