蒼井優、恋愛依存の女から四川料理店員まで “クセの強い役”でインパクト残す
主演映画『彼女がその名を知らない鳥たち』が10月28日より公開される蒼井優。『リリイ・シュシュのすべて』(2001)で映画デビューを果たし、『花とアリス』(2004)でプチブレイク、そして『フラガール』(2006)で実力を認められた彼女だが、『彼女がその名を知らない鳥たち』では、これまで以上に女優力を発揮している。
この映画で蒼井が演じるのは、8年前に別れた男・黒崎(竹野内豊)が忘れられずにいる十和子という名前の女性。一緒に暮らしている15歳年上の男・陣治(阿部サダヲ)の少ない稼ぎに頼って生活しているのに、彼を臭い、汚い、不潔と罵り、足蹴にしているとんでもなく嫌な女だ。さらにクレーマー気質であり、かなり面倒くさい女でもある。しかし、黒崎とどこか彼に似た妻子持ちの男・水島(松坂桃李)の前になると、急に可愛げのある女に変貌する。いわば十和子は恋愛依存の女なのだ。そんな一癖も二癖もある十和子という役に挑んだ蒼井は、本当は十和子の唯一の理解者である陣治、そして黒崎と水島という二人の男たちの前で見せる顔を使い分け、十和子の危うさを表現している。陣治を罵るときのふてぶてしさと、恋する女のときの表情のギャップには、誰もが驚かされるだろう。
その一方で蒼井は、現在公開中の『ミックス。』にも出演している。こちらでは一転して、四川料理店の中国人店員をコミカルに好演。彼女が話す中国語なまりの日本語は、まさにお見事で、彼女がスクリーンに登場するたびに笑いがこみあげてくる。メインキャストではないものの、「蒼井優がすべてを持っていった」と言っても過言ではないぐらい、はっちゃけた演技で映画を盛り上げている。