リニューアルの先に何があるのかーーHulu於保社長に聞く、動画配信サービスの現状と今後

Hulu社長に聞く、動画配信サービスの今後

「市場において、少しプレイヤーの数が多いなとは感じています」

――7月には、東宝や中京テレビなどへの第三者割当増資が実施されました。このようなコンテンツホルダーとの関係強化はHuluにどのようなメリットをもたらしますか?

於保:まだまだ申し上げられないことも多々あるのですが、両社にとっていい形になるような事業戦略がベースにあります。我々としては、Huluをさらに成長させるために、日本テレビ以外のパートナーを増やしていきたいと思っています。我々はパートナーの力を借りながら成長し、逆にそのパートナーさんに対して我々の強みを提供していくといった、ウィンウィンの関係で、お互い成長していきましょうということです。

――映画においては、東宝が入ったのはユーザーにとって非常に期待の大きい部分かと思います。

於保:もちろんコンテンツプロバイダーとしてのお付き合いもあるかと思いますが、過去のことよりも、何か新しいことを仕掛けていきたいなと考えています。テレビ、配信、映画をどう連動させていくか。それは日本テレビ、Hulu、東宝の3社でできることなので、コンテンツなのか、新しい取り組みなのか、別の何かはまだわかりませんが、そういうことをやっていきたいなと。

――新たな事業者も続々参入している、配信サービスを取り巻く現状はどうみていますか。

於保:市場において、少しプレイヤーの数が多いなとは感じています。TBSさんやテレビ東京さんなどが組んだプレミアム・プラットフォーム・ジャパンも来年立ち上がるので、ちょっと乱立気味かなと。そうすると、当然そこで争いが激化してくるので、どうしてもコンテンツの獲得合戦になってしまいますよね。先ほども申し上げたように、我々は資金力でコンテンツを買い漁るような戦い方はなかなかできません。そういうところと真っ向勝負していくのはなかなか難しいので、オリジナル作品もそうですし、百貨店みたいな構想もそうなのですが、Huluでしか味わえないサイトにしていくことが必要です。ディズニーランドのような、行くと確実に幸せになれる場所を目指す。そこで戦っていくしかありません。

――ユーザーの視聴パターンが変わってくると、将来的にはHuluが1番のプラットホームになる可能性も考えられます。

於保:1年、2年という単位ではさすがに難しいですが、もちろんそこは目指さないといけません。10年経つと市場もまたガラッと変わるはず。過去に衛星放送プラットフォームがいくつか立ち上がった時代もありましたが、結局どこかで統合されています。なので、もしかしたら再編もあるかもしれません。その中でHuluはひとつの軸になっていきたいですし、ならなければいけないと思っています。そのような強いサービスにしていくためには、現在利用していただいているようなコンテンツ好きな人たちをどれだけ集められるかが勝負。ここだけはブレずにやっていきたいです。

ーー具体的に意識している層はありますか。

於保:若年層はかなり意識しています。特にアニメを中心に若年層のユーザーが非常に増えてきているので、そこは我々としても戦略的に狙っているのですが、若い人たちはリテラシーが高いので出たり入ったりしてしまう。この辺りは悩みの種でもあるのですが、若い人たちにHuluに接してもらって、長い顧客にしていくことは当然必要ですから、若い人に楽しんでもらえるような、今後につなげていける施策をどんどん展開していきたいと考えています。

――将来的に若年層に向けたプランを設けるなどの可能性も考えられる?

於保:もちろん選択肢のひとつとしてあると思います。5月のリニューアルでようやく自前のプラットホームでいろいろなことができるようになったので、今後はよりいろいろなことが考えられるかなと。第2のスタートラインに立ったつもりで、これからまた第2のHuluが始まっていくという意気込みでやっていきます。

(取材=編集部)

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