10月クールドラマは“3大涼子”そろい踏み! それぞれの華やかなキャリアと新作を分析
そして、米倉涼子は抜群のスタイルを活かしモデル活動をしていたが、1999年に女優宣言。『黒革の手帖』などテレビ朝日と組んだ松本清張シリーズで存在感を発揮し、2012年に始まった『ドクターX―』で視聴率女王となったのはご存知のとおりだ。『ドクターX―』はいわば、外科医版『ミッション・インポッシブル』。今回もトム・クルーズのようにロッククライミングをする米倉などが楽しめそうだ。勧善懲悪の時代劇的ヒーローなので、今回もその痛快さは鉄板だろう。ただ、医療ものの宿命として海外ドラマの『ER緊急救命室』や『グレイズ・アナトミー』もそうだったように、どうしても物語が医師の身内で回ってしまいがち。前シーズンは未知子の相棒である麻酔科医の城之内(内田有紀)が重症となり彼女を救うというのがクライマックスになった。既にもうひとりの身近な人間、神原(岸部一徳)もそのパターンで未知子に命を救われているだけに、人間ドラマの部分で新しい展開ができるのか、不安要素もある。
連続ドラマの主演というのは、キャリアの頂点のひとつであり、その椅子に座り続けるのは事務所のバックアップがあったとしても、並大抵のパワーではできない。長いスパンで考えてのキャリア戦略も必要になる。それにはまず、ドラマのメイン視聴者であるF1、F2層(20~49歳女性)の支持を得ること。男性人気の高いアイドル・歌手だった広末と篠原はそれを意識して女性向けにうまく転換してきた。それは大雑把に言ってしまえば、女性に共感してもらえる役柄を演じるということ。今回の2人の役柄が主婦であることもその表われだろう。一方、米倉涼子は身近ではないが超然としたキャラクターを演じ、女性たちが男社会で晴らせない鬱屈を代わりに晴らしていく。10月クール、偶然にもそろい踏みした3人の涼子の中で、さらなる視聴者の支持を得るのはいったい誰だろうか?
■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。
■放送情報
『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』
10月23日(月)スタート フジテレビ系にて毎週月曜21時〜放送
出演:篠原涼子、高橋一生、古田新太、前田敦子、千葉雄大、斎藤司(トレンディエンジェル)、若旦那、細田善彦、今田美桜 、余貴美子、大澄賢也、田中圭、石田ゆり子
脚本:黒沢久子
音楽:井筒昭雄
主題歌:AAA「LIFE」(avex trax)
プロデュース:草ヶ谷大輔
演出:金井紘、石井祐介、相沢秀幸
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/minshuunoteki/