21世紀版『悦ちゃん』が示した、“昭和のヒットメイカー”獅子文六の魅力
“昭和モダニズム溢れる、極彩色のポップでお洒落なラブコメディ”を標榜する今回のドラマ版の脚本を担当しているのは、阿部サダヲと芦田愛菜がダブル主演した『マルモのおきて』(フジテレビ)、芳根京子の出世作『表参道高校合唱部!』(TBS)など、“父と娘”、“音楽”など、本作との共通点も多いドラマを手掛けてきた櫻井剛である。さらに、碌さんが作詞を担当した楽曲として原作にも登場する「パパママソング」を、本作の音楽担当でもある橋本由香利が新たにメロディをつけ、悦ちゃんをはじめとする出演者たちが歌い上げるなど、今回の“21世紀版悦ちゃん”は、その美術や衣装のみならず、さまざまな趣向が凝らされている。
そう、ドラマのエンディングで、出演者たちがミュージカル調で代わる代わる歌い上げるこの曲こそが、実は物語の終盤、大きな意味を持ってくるのだが……本日放送される第4回では、この「パパママソング」の誕生秘話が、いよいよ明らかになるという。全8話からなる物語も、そろそろ折り返し地点に差し掛かる。今回のドラマ化に挑む出演者及びスタッフは、昭和の庶民はもちろん、映画やドラマからも愛されてきた獅子文六の世界を、果たしてどんなふうに描き切ってみせるのだろうか。片岡愛之助の軽妙な“語り”によって進行していくこのドラマの今後の振り切った展開に期待したい。
■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。
■番組情報
土曜時代ドラマ『悦ちゃん~昭和駄目パパ恋物語~』
NHK総合 土曜 18:05~18:43
出演:ユースケ・サンタマリア、門脇麦、石田ニコル、平尾菜々花
製作総指揮:落合将
演出:大原拓、清水拓哉
原作:獅子文六
脚本:櫻井剛