『小さな巨人』が描いてきた“見えない敵” 『踊る大捜査線』『シン・ゴジラ』との繋がりを考察

 『シン・ゴジラ』には「好きに生きる」という言葉が出てくる。矢口の「好き」は正義を意味するようにも見えたし、好きを貫くためには一人ではいけないから出世をしたいのだと見て取れた。10年先にもこの国を残すことのほうが重要と考えているのも、それが自分の好き(正義感に逆らわず)に生きられることに繋がるからだ。

 『小さな巨人』では、会議室というよりも、組織と人との関係性の中に見えない敵がいることが描かれてきた。日本社会の中で正義を貫き、自分の好きに生きるためには、さまざまなしがらみを潜り抜けなければいけない。その意味で、『踊る大捜査線』、『シン・ゴジラ』、『小さな巨人』で描かれてきた警察組織、政治家、権力者たちの在り方は繋がっているのではないだろうか。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
日曜劇場『小さな巨人』
毎週日曜21:00〜TBS系にて放送
出演:長谷川博己、岡田将生、芳根京子、安田顕、春風亭昇太、香川照之ほか
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chiisanakyojin_tbs/

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