小島藤子、松本穂香、藤野涼子……『ひよっこ』“乙女寮”で暮らす注目の若手女優たち

 5月より「東京編」へと突入したNHK連続テレビ小説『ひよっこ』が、いよいよ面白くなってきたと評判だ。その大きな理由のひとつとして挙げられるのは、「東京編」から新たに登場した人物たちのフレッシュな魅力だろう。とりわけ、有村架純演じる主人公・谷田部みね子が、東京で暮らすことになった“乙女寮”の人々。生まれも育ちも異なる同世代の女の子たちが、ときに反発し合いながらも、だんだんと親密さを増してゆき、やがてみね子にとってかけがえのない“仲間たち”となっていく様子は、ある意味“朝ドラ”の王道とも言うべき、爽やかな感動を視聴者の心にもたらしている。

 昭和39年、東京オリンピックが開催された年からスタートした本作。その序盤は、奥茨城にある架空の村を舞台に、主人公・みね子と、その同級生である女優志望の女子高生・助川時子(佐久間結衣)、角谷三男(泉澤祐希)の3人を主軸とした、地元の人間模様をのどかに描いてきた(「奥茨城編」)。しかし、東京に出稼ぎに出ていた父(沢村一樹)の失踪を契機に、のどかだったみね子の日常は一転。高校卒業後は、実家の農業を手伝うつもりだった彼女も、一家の家計を支えるべく、時子、三男らと一緒に東京に出て働くことになったのだ。

 かくしてスタートした「東京編」。親友である時子と一緒にみね子が勤務することになったのは、東京都墨田区向島にあるトランジスタラジオの製造工場だ。ふたりは、その工場に隣接した寮、その名も乙女寮で暮らすことになる。そこで同室となったのは、山形、福島、青森、秋田……それぞれ故郷を離れ、“集団就職”で東京へとやってきた、さまざまな境遇の女の子たちだ。彼女たちの身の回りの世話をする乙女寮の舎監・永井愛子(和久井映見)の庇護のもと、慣れない東京の町で暮らす彼女たち。ここでは、そんな乙女寮でみね子と時子と同室になった4人の女の子たちを、その役者としてのキャリアともども見ていくことにしよう。

寮長・秋葉幸子/小島藤子(1993生まれ)

 山形県出身の寮長・秋葉幸子を演じる小島藤子。みね子たちを含めた乙女寮の6人のなかでも、ひときわ大人びた雰囲気を持つ寮長役を演じている彼女は、2007年『おはスタ』(テレビ東京系)の“おはガール”に抜擢されたことから本格的に芸能活動を開始、2009年にはドラマ『小公女セイラ』(TBS)にレギュラー出演し話題となり、さらに2012年にはNHK連続テレビ小説『カーネーション』で、尾野真千子演じる主人公の孫娘役としても出演するなど、これまでさまざまなドラマや映画などに出演している若手女優だ。近年は、ドラマ及び映画『HiGH & LOW』で、山王街を拠点とするレディースチーム“苺美瑠狂”の総長・純子役を演じ、鮮烈な印象を残していたのも記憶に新しい。なぜかこれまで、いじめっ子やヤンキー役が多かった彼女だけれど、今回の幸子役は、レトロな髪型とファッションが彼女の雰囲気にピッタリな、実に楚々とした役どころ。まさに、適役と言っていいだろう。

青天目澄子/松本穂香(1997生まれ)

 上京するみね子たちと同じ列車に乗り合わせ意気投合した福島県磐城出身の青天目(なばため)澄子。おかっぱ頭に眼鏡がトレードマーク、どこまでもマイペースで食べることと寝ることが大好きな彼女を演じているのは、今回が朝ドラ初出演となる松本穂香だ。昨年、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)で、有村架純演じる主人公が勤務する介護施設の同僚役を演じるなど、有村架純の“妹分”として存在感を増している彼女。近年は、「演出とは?」をテーマに、『トイレのピエタ』の松永大司監督が本人役で出演するなど、虚実入り混じった物語が話題となった新鋭・二宮健監督の映画『MATSUMOTO TRIBE』に本人役で出演。ある意味、体当たりとも言っていい熱演を披露するなど、にわかに注目を集めている新進女優だ。乙女寮の6人のなかでは最もコミカルな役どころでありながら、実は複雑な家庭で育ってきた過去を持つという澄子を、彼女はどんなふうに演じるのだろうか?

兼平豊子/藤野涼子(2000年生まれ)

 青森県出身の兼平豊子。地元の中学では成績優秀だったにもかかわらず、経済的な理由で高校に進学することができなかった彼女は、生真面目さと気の強さが特徴的な女の子だ。そんな豊子を演じるのは、かつて約1万人という大規模なオーディションを経て、宮部みゆき原作の映画『ソロモンの偽証』(2015年)の主演に大抜擢され、見事その年の新人女優賞を総なめにした逸材、藤野涼子。ちなみに、この「藤野涼子」という名前は、『ソロモンの偽証』の主人公の名前を、そのまま芸名としたものとなっている。その後、しばらくは学業に専念していた彼女だが、黒沢清監督の映画『クリーピー 偽りの隣人』(2016年)では、香川照之の娘役を演じるなど、徐々に活動を本格化。今回の朝ドラ出演は、満を持してといった感もある、注目の実力派若手女優のひとりだ。

夏井優子/八木優希(2000年生まれ)

 秋田出身の可憐な雰囲気を持った女の子、夏井優子を演じるのは、赤ん坊のころから子役としてドラマや映画などに数多く出演している八木優希だ。彼女の顔を見て、「あれ?どっかで見たことある?」と思った視聴者も、きっと多いことだろう。そう、彼女はかつて香取慎吾が主演し、野島伸司が脚本を担当したドラマ『薔薇のない花屋』(2008年/フジテレビ系)で、香取慎吾と暮らす少女・雫役を演じていた子なのだ。そんな彼女も、今やすっかり大人に。しかし、目を凝らせば、その大きな瞳にかつての面影があるような……。乙女寮に住む6人のなかでは年少であり、なおかつ病弱であるという難しい役どころでありながら、その奥に凛とした芯の強さが感じられる今回の優子役。その落ち着きは、子役として長いキャリアを持つ、彼女ならではの持ち味と言えるだろう。

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