橋本愛 × 永野芽郁 × 染谷将太、劇中バンドが面白い! 『PARKS パークス』音楽の魅力

『PARKS パークス』が描く2つの物語

 今年、開園100周年を迎える吉祥寺の井の頭公園を舞台にして、一本の映画が生まれた、その名も『PARKS パークス』。企画したのは、2014年に惜しまれながら閉館した吉祥寺の映画館、バウスシアターのオーナー、本田拓夫だ。そこには「映画館の終わりを映画の始まりにしたい」という想いがあったらしいが、映画と公園に共通するものといえば、人が集まる場所を提供すること。『PARKS パークス』という物語も、様々な人々や時代が交差して不思議な場を生み出していく。そこで人々を導く重要な役割を果たしているのが音楽だ。

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 ヒロインは井の頭公園の近くに住んでいる女子大生の純(橋本愛)。最近、恋人と別れ、大学からは留年通知が届き、何をやってもうまくいかない。そんな純の前に突然現れたのが、見知らぬ女子高生のハル(永野芽郁)だった。ハルは亡くなった父親、晋平(森岡龍)についての小説を書こうとして、若い頃に晋平が住んでいた吉祥寺にやって来たのだ。ゼミのレポートの題材にちょうど良いと思った純は、ハルに協力して、晋平のかつての恋人、佐知子(石橋静河)を一緒に探すことに。残念ながら彼女は少し前に亡くなっていたが、佐知子の孫、トキオ(染谷将太)が遺品のなかからオープンリールのテープを見つける。そこに入っていたのは、晋平と佐知子の歌声だった。

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 偶然が重なって巡り会った3人の男女。彼らを結びつけるのは、オープンリールに残された未完成の曲だ。「僕らの物語は/この公園から始まる」という歌詞は、晋平と佐知子の物語であると同時に、純、ハル、トキオの物語の始まりを告げている。もちろん、公園とは井の頭公園のこと。ちょっとした表情や動きで感情を巧みに表現する橋本愛と、天真爛漫な力強さがある永野芽郁との組み合わせは絶妙で、2人の間を縫うように染谷将太が瞬発力のある演技で自由に動きまわる。そんな3人のアンサンブルはピッタリと息があっている。

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 3人は晋平と佐知子の曲を「PARK MUSIC」と名付けて最後まで完成させようと決意するが、誰ひとりとしてろくに楽器が弾けない。そこで彼らはバンド・メンバーを探しはじめる。集められたのは、子供にピアノを教えていた鍵盤奏者や、大工のドラマー、パンク・バンドの女性ベーシスト、井の頭公園で演奏していたミュージシャンなど、ばらばらな4人。彼らはバンド、Jurassic Parksを結成して、吉祥寺の音楽フェスに出演することを目指す。仲間と晴れの舞台を目指して頑張る、まさに音楽映画の王道の流れだが、本作はそういうお約束な感動路線から、するりと身をかわしていく。

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