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立川シネマシティ・遠山武志の“娯楽の設計”第12回

映画館で映画以外のコンテンツを上映するのはアリ? “ハイパーローカル興行”という鉱脈

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 東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】で知られる“シネマシティ”の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、第12回は“ハイパーローカルな興行”について。(メイン写真:(C)2017 WOWOW INC. ARK co., ltd.)

 なんとあの「ザ・スライドショー」が20周年で映画化! タイトルは『映画 みうらじゅん&いとうせいこう 20th anniversary ザ・スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密』。タイトル長過ぎ。2月18日公開。これをシネマシティでも上映させてもらえることになって、ラフォーレ原宿の「みうらじゅん 大物産展」に足を運んで実際にエロスクラップを見たり、バイト仲間の結婚式で「ザ・スライドショー」を模倣してどんずべりしたことがある程度のファンの僕としてはかなりテンションが上がってます。

 「マイブーム」「クソゲー」「ゆるキャラ」「いやげもの」「見仏記」など数々のブームや名フレーズを生み出したキング・オブ・サブカルと、日本人初のラッパーであり、編集者であり、小説家であり、エッセイストであり、俳優でもある、スーパーマルチタレントのいとうせいこうとのコンビ「Rock’n Roll Sliders」が繰り広げる、知性とバカバカしさとセンスの塊の、写真とイラストとトークで観客を笑い殺しにかかる唯一無二のエンタテイメントが「ザ・スライドショー」なのです。ホント楽しみ。

 さて、今作のような、濃い映画マニアや偉い評論家の方には「こんなものは映画と認められん」と叱られそうな上映が、ここのところ増えています。その最も大きな理由は、2011年頃、映画の上映方式がフィルムからデジタルに変わったことです。制作の手間もコストも格段に少なくなったことで、これまで映画館で上映されることがまずなかったようなものが上映できるようになって来たのです。演劇、歌舞伎、宝塚、オペラ、バレエ、音楽ライブ、スポーツなどを映画館でご覧になられた方も少なくないと思います。

 映画館は現在、ほぼすべての劇場でデジタル上映に切り替わっています。デジタル上映というのはつまり、皆さんの学校や会社の会議室にもあるようなプロジェクタで映しているということです。映画館のはそれがデカくて性能が良いというだけです。パソコンがあって、そこにHDDで送られてくる動画データを入れて、あとは再生ボタンを押すだけ。

 プロジェクタと同じですから、パソコンやゲーム機、Blu-rayプレイヤー、スマホ画面だってつないでスクリーンに映し出すことが出来ます。実際に試しにPS4やWiiU、iPhoneをつないで382席の最大劇場でゲームをしてみたこともあります。シビアな格闘ゲームやFPSでなければ、ラグも大して気にならないレベルで遊べました。どこの映画館でもこういう状況であるのに「映画」だけを上映し続けるのはもったいない、ということで、フィルム時代には考えられなかったような上映が増えているんですね。

  そんな中でもしかし『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』と『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』はここまで来たか、と結構衝撃でした。テレビドラマの映画化なら数え切れないほどありますが、特に『キス我慢』は深夜バラエティの、しかもその1コーナーをスケールアップして劇場で見せようというのですから、ちょっと今までになかったような気がします。

 しかも『キス我慢』は劇団ひとりとセクシー女優たちが演じるアドリブドラマを芸人陣が他の場所でモニタ鑑賞している、というメタフィジックな構造を持っており、ドラマパートを映画的にスケールアップすればするほどバカバカしさが笑いに反転していくという仕掛けがある上に、劇中の出演芸人たちの状況と劇場鑑賞している観客の状況がシンクロする面白さもあります。実に「劇場鑑賞型」作品なんですね。

 広い層のお客様を集めるのは難しいでしょうが、ファンが集まり、みんなで笑ったり、時に泣いたりしながら観たら、これは面白さが自宅で観るときの何倍にもなります。だから作品を見せるということよりも、「観る場を提供する」ということに近いと思います。応援上映や発声可能上映までいかなくても、熱心なファンが集まっているというだけでやはり雰囲気は全然違います。こういう“興行”には、大きな可能性があると思いませんか?

 もはや映像コンテンツであれば、映画館だからこういうもの、という判断基準は取っ払ってなんでも上映してしまっていいのです。回転寿司がフライドポテトやラーメンを出して人気メニューにしたみたいなものです。

 NHKのダイオウイカの映像が映画館で上映されたというのもありました。YouTuberの作品だっていいんですよ。映像だけで集客に不安があったら、本人登場でトークでも演奏でもして集客力を強化する。ニコ生主のリアルゲーム実況だって人を集められるでしょう。別に1,000名集めなくていい。200名も集まれば十分です。時間帯が深夜とか、必要経費が少なければ、50名でも利益は出ます。日本全国でやる必要なんてないんです。東京、大阪でも1カ所だけとか、ローカル局のテレビ番組の映画化で札幌しか上映しないとか。

 ローカル限定上映の実例だってもうあるんですよ。現在神奈川県6館だけで上映中の「FOR REAL ベイスターズ、クライマックスへの真実」。タイトル通り、球団横浜DeNAベイスターズのドキュメンタリー映画です。絵に描いたような地元密着です。これはすごいやり方です。

 『FOR REAL ベイスターズ、クライマックスへの真実』公式サイト
:http://www.baystars.co.jp/forreal/sp/

      

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