ゴールデングローブ賞速報! 『ラ・ラ・ランド』が7部門史上最多受賞、アカデミー賞に大きな一歩
1月8日(現地時間)、ロサンゼルスのビバリーヒルトンホテルで第74回ゴールデングローブ賞の授賞式が行われた。結果は前評判通り『ラ・ラ・ランド』が映画部門のミュージカル・コメディ部門作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、主演男優賞、歌曲賞、作曲賞とノミネート全部門を制覇し、ゴールデングローブ賞の史上最多受賞作品となった。前哨戦の完全制覇によって『ラ・ラ・ランド』は2月26日のアカデミー賞に向けて大きな一歩を踏み出した。
ゴールデングローブ賞は、ハリウッド外国人記者クラブに加盟する約90名の記者たちによって選ばれる賞。日本からは3名の記者が加入している。アカデミー賞直前の大きな賞であり多くのスターが授賞式に集結することから、年々注目度が高まっている。その一端は、NBCによる生中継が入っているため、授賞式がどんどんショーアップされてきたことにも関係する。今年は人気司会者のジミー・ファロンがMCを務め、オープニング映像では、今年一番の話題作『ラ・ラ・ランド』のパロディを披露した。
映画ではロサンゼルスのフリーウェイを舞台にミュージカルシーンが繰り広げられていたが、ファロン版は授賞式会場のレッドカーペット。セレブを載せたリムジンが渋滞する中、次々にダンサーが踊り始めるというもの。そこにプレゼンターを務めるニコール・キッドマン、ジョン・トラボルタ(あの有名なポーズを披露)、ライアン・レイノルズ、ジャスティン・ティンバーレイクも参加して賑やかに開幕した。だが、こういったパロディ調のオープニングはアカデミー賞の十八番。今頃、本番を2ヶ月後に控えたアカデミー賞担当プロデューサーは頭を抱えてしまっていることだろう。
授賞式では『ラ・ラ・ランド』の席巻に沸き、監督賞を受賞した31歳のデイミアン・チャゼルは、「この作品は決して簡単に作れる類のものではありませんでした。振付師、撮影監督、編集者、美術を担当してくれたみなさんのおかげで形にすることができたんです。そして、灼熱の太陽の下でフリーウェイを遮断してミュージカルシーンを撮るためにがんばってくれた助監督に最大の謝辞を贈ります」と述べ、大きな拍手を受けた。デビュー作の『セッション』は意外性に満ちた脚本が評判になり、チャゼル監督の印象も“苦労を知らないシニカルな若手監督”というものだった。ところが、2作目にして往年のハリウッド映画を踏襲しながらも見事に2016年らしい作品を作り上げ、更に「映画はチームワークである」というスピーチを残した。
ちょうど1月5日から始まったアカデミー賞の投票権を持つアカデミー会員の多くは、映画の裏方に関わる映画人であることから、このスピーチはチャゼルの監督賞受賞に有利な方向に動くだろう。同じく、コメディ・ミュージカル部門主演女優賞を受賞したエマ・ストーンは、「この映画は、夢見る人たちの映画です。希望と創作意欲は、この世の中で最も大切なものです。いつも目の前でドアが閉じられてしまうと感じているクリエイター、オーディションに落ちまくっている俳優たち、この賞は、心を砕かれ諦めかけながらも立ち上がろうとしているみなさんとシェアしたいと思います」と笑顔で締めた。若さと好感度に満ちたチャゼル監督、そしてエマ・ストーンのスピーチは、高齢のアカデミー会員たちの投票用紙に名前を書かせるいいきっかけとなるだろう。