来年1月スタートのTBSドラマ、 坂元裕二脚本『カルテット』に寄せる絶大な期待
公式ページによると、今回の『カルテット』のキャッチコピーは「30代。恋愛も人生も一筋縄ではいかない…」で、「全員片思い。全員秘密だらけ」のラブ・サスペンスとのことだが、自分が最も目を引かれたのは演者として文字通り弦楽カルテットを組むことになる主要4人のキャラクター解説だ。乱暴に要約すると、第1ヴァイオリンの松たか子は「超ネガティブ思考の一歩引いた存在」、チェロの満島ひかりは「マイペースでのんびり」、ヴィオラの高橋一生は「理屈っぽい変人」、第2ヴァイオリンの松田龍平は「コミュニュケーション能力の高いリーダー」。「え? 松田龍平が『コミュ力の高いリーダー』?」と、それぞれのパブリック・イメージから人によっては微妙に、人によっては大幅にズレるキャラクター付けがされていることがうかがえる。こんなもん、おもしろくないわけがないじゃないか!
とりあえず現段階の情報では社会派でもないコメディでもない(でも、きっとどっちの要素もあるはず)坂元裕二作品の新機軸の予感と同時に、主要キャラクターは女2人男2人の4人(『最高の離婚』の再来!)、主要な舞台となるのは軽井沢(『それでも、生きていく』以来の長野ロケ!)と、坂元裕二ファンのハートをくすぐる「!」な要素も満載。その作品の充実度とは反比例するかのように、フジテレビでの近作(『問題のあるレストラン』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』)では視聴率的に苦戦を強いられてきた坂元裕二作品だが、現在一大ムーブメントを巻き起こしている『逃げ恥』と同枠のTBS火曜22時ドラマの後番組という追い風もあり、内容はもちろんのこと、その結果にも今から最大限の期待を寄せてしまいたくなる。来年1月から、我々「ドラマ好き」が「地球に生まれてよかったーぁ!」(TBSだけに)とテレビの前で身悶えする日々がきっとやってくるはずだ。
■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter
■番組情報
『カルテット』
2017年1月放送スタート 火曜日夜10時〜
脚本:坂元裕二
出演:松たか子、満島ひかり、松田龍平、高橋一生、吉岡里帆
演出・チーフプロデュース:土井裕泰
プロデュース:佐野亜裕美
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/quartet2017/