松岡昌宏、大野智、滝沢秀明……ジャニーズメンバーがドラマで“強烈キャラ”演じる背景

(C)タナカケンイチ

ジャニーズメンバーが出演するドラマは、毎クールのことながら話題に事欠かない。どちらかと言うと、王道ラブストーリーに出演する機会が多いジャニーズメンバーだが、ここ最近は常識離れした役を演じることで、注目を集めるケースが増えてきているように思う。役柄のキャラクターとメンバーのパーソナリティーの間のギャップが大きいほど、作品におかしみが与えられ、それが人気につながるパターンだ。実際の例を挙げながら考えてみよう。

 まず、今クール話題になっているのが、TOKIO松岡昌宏が主演の『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)だ。放送がスタートする前、「料理・洗濯・掃除・子守…何でもこなせる男性の家政婦」という設定は珍しい印象があったが、まさか松岡が女装するとは思っていなかった。180cm以上の長身、がっしりとした骨格などが相俟ってはじめこそ違和感があるが、見ているうちに松岡の女装に違和感を感じなくなってくる。というのも、くりっとした目と形の良い唇という顔立ちにボブのかつらが、妙に似合っているのだ。そのルックスはほかのジャニーズにも注目されており、嵐のメンバーも、松岡の女装をテレビ番組などでたびたび話題にしている。こういった姿で演技をするのは、松岡にとってももちろん初。約4年ぶりとなる連ドラ主演の松岡だが、その存在感とお得意の淡々とした喋りが、演じる三田園薫にぴったりなのだ。普段のキャラクターからはかけ離れたキャラを演じたことで、新境地を切り拓いた好例といえよう。

 また、2016年7月クールの『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)の滝沢秀明も、シュールな演出が話題になった。『せいせいするほど、愛してる』は、昼ドラ顔負けの修羅場シーンがあるラブストーリー。滝沢演じる三好海里は、ティファニージャパンの副社長で仕事ができるキャラクターだが、趣味はエアギターというギャップのある設定。飛んだり跳ねたりするのはもちろん、部屋の電気や換気扇のスイッチをつけながらプレイしたり、ソファーやキッチンの上で光悦の表情を浮かべながらエアギターを披露する様は大きな話題となり、『せいせいするほど、愛してる』の代名詞的存在となった。滝沢と言えば、その容姿端麗な姿から「王子キャラ」として揺るぎないポジションを確立している。2014年に相方である今井翼が休業した際も、一人でコンサートを行なったり、今井のラジオのパーソナリティを代理で務めたりと、誠意溢れる対応をした頼れる存在だ。そんな「完璧人間・滝沢秀明」が、ひとりでエアギターに夢中になる姿は衝撃的だった。実は笑いも取れる俳優であることを印象付けたという点で、本作は滝沢に親しみやすさを与えたのではないだろうか。

 2016年4月クールの『世界一難しい恋』(日本テレビ系)で、嵐の大野智が演じた鮫島零治もインパクトのある役だった。鮫島は敏腕経営者であるものの、女性の扱いには疎い「性格難あり男」。相手役の柴山美咲(波瑠)に対する態度はかなりひどく、斜め上の行動がふんだんに盛り込まれていた。しかし、大野智という役者が演じることで嫌な性格が緩和され、かなりコミカルな印象になる。実際プロデューサーの櫨山裕子氏も、インタビューで次のように話している。

「大野くんのお芝居が素直というか、気持ちが伝わりすぎるというか……脚本や設定の計算上では、もっと普通の男性のつもりだったのですが、大野くんを通したことで、かわいいという印象が強く出ました。」(出典:マイナビニュース/大野智は視聴者を味方につけすぎた!? 『世界一難しい恋』プロデューサーが語った計算違いと最終回への展望

 普段はのんびりとした印象の大野が気難しい役を演じることで、制作側も想像していなかった新しい「鮫島零治」というキャラクターが生まれたのだ。特に男性ファンからの共感を集めたことは、想定外だったのではないだろうか。

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