A.B.C-Z橋本良亮&河合郁人が見せた新しい「顔」ーー音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』レポ

(C)タナカケンイチ

 A.B.C-Zの橋本良亮と河合郁人が主演を務める音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』が、2016年6月4日より赤坂ACTシアターにて上演をスタートしている。その評判は上々である。原作者の村上龍氏のファンや演劇ファンなのだろうか。観劇者はジャニーズファンの女性だけではなく、男性や年配の方々の姿も少なくない。約2時間の舞台のため、端折ってある部分はあるものの原作に忠実と言っていい内容であることも、好評である理由の1つだろう。他に、どんな部分がこの舞台の魅力となっているのだろうか。今回は、A.B.C-Zの2人に焦点を当てて考えてみたい。

 まず一つ目は、橋本と河合がより本格的な演劇の世界に足を踏み入れたことだ。これまでも2人は様々な舞台経験を積んできており、『ABC座』、『JOHNNYS' World』などでは、A.B.C-Zとして座長を務めるほどである。個人でも橋本は、『Dream Boys』や『滝沢演舞城』などに出演し、2014年の『ルードウィヒ・B』では主演に抜擢。河合も『滝沢演舞城』、『ルードウィヒ・B』などに出演し、『ファウスト』で主演を務めている。しかし、彼らが出演する舞台は、「ジャニーズ」のイメージを打ち出した「見ていて楽しい」作品や、彼らの性格を活かした作品である傾向が強かったと思う。言ってしまえば、アイドルである彼らなら、自然と演じることができる作品が多かったのだ。だが、『コインロッカー・ベイビーズ』の作風はこれまでとはガラリと違う。そこに挑戦したことで、演劇の世界へ深く足を踏み入れたと言えよう。そして、これまでにない挑戦をしていく様が見られることは、ファンにとっても大きな魅力になるはずだ。

 橋本・河合の演技の幅の広がりにも注目だ。V6 森田剛の『血は立ったまま眠っている』やHey! Say! JUMP 八乙女光の『殺風景』にも見られるように、ジャニーズメンバーが出演する外部舞台は、“狂気と悲しみ”が含まれる作品も目立っている。今回の『コインロッカー・ベイビーズ』も例外ではない。これまでハッピーでファンタジー色が強い作品への出演が多かった橋本と河合は、ハシとキクというキャラクターを相当作り込んできた印象だ。約1年半前に2人揃って出演した『ルードウィヒ・B』の演技と比べて、随分と表現力が増していると感じる。

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