松本潤主演『99.9』第7話は“ミステリー”から“サスペンス”へ 斑目法律事務所はどう結託したか
案の定、深山の捜査のやり方に口を挟むことになるが、それをたしなめる役割を、佐田がしているというのは実に面白い。すっかり佐田と深山の間の隔たりは取り払われているということだ。二人の関係性が、志賀と刑事事件チーム、つまりは斑目法律事務所全体を結びつけるために必要であるとすれば、前回の事件を経た終盤にこのエピソードを配したことも納得ができる。
「事実を突き詰めることが、依頼人の利益となることがある」と、佐田は志賀に言い放つのである。これまでは事実よりも依頼人の利益を優先するという一般的な考え方を持っていた佐田であったが、これで事実と依頼人の利益の均衡を図ろうとする、現実的にも理想的な弁護士の姿になったといえよう。たしかに、今のところ描かれてきた事件は、どれも依頼人が無実であるケースばかりだったから、深山のモットーである事実最優先主義は覆らないが、そこはドラマの根幹なので目を瞑っても構わないだろう。
次回への伏線を匂わせる感じで、クライマックスに夏菜演じる謎の女性が登場する。その直後、主人公・深山が殺人罪で逮捕されるところで幕を閉じたのだ。おそらく次回から最終回までは一気に駆け抜けるということになるのだろうか。今回のエピソードで結託した斑目法律事務所の面々が、深山の無実を証明するために奔走する姿から、検察の大友との確執へと繋がっていくという流れになる予感がする。
ところで、今回の解決へとつながる鍵となった、花瓶の水の代わりにサイダーを使うというのは、どうやら花を長持ちさせる裏技として有名な方法のようだ。普通の水を使うよりも、果糖ブドウ糖液が含まれることで、微生物の餌となって水に養分が与えられるということらしい。気の抜けた炭酸水で、多少薄めるのが良いらしいが、あくまでも裏技なので、本来は花用の延命剤を使うのが安心だろう。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■ドラマ情報
『99.9−刑事専門弁護士−』
出演:松本潤、香川照之、榮倉奈々ほか
脚本:宇田学
トリック監修:蒔田光治
プロデュース:瀬戸口克陽、佐野亜裕美
演出:木村ひさし、金子文紀、岡本伸吾
製作著作:TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/999tbs/