『ディストラクション・ベイビーズ』真利子哲也監督が語る、新世代役者たちの“目つきの違い”

「この映画を撮っていく中で希望を感じました」

 

ーー喧嘩の描写もリアルに描かれてましたね。

真利子:殴られ方や倒れ方はYouTubeのリアルな映像を参考にしました。一般人が喧嘩をしているロシアの映像だったかな。スマホのカメラで普通に撮っているだけの映像ですが、なぜかそこに漂う不穏な空気を感じることができて、観ている人の背徳感を刺激してくるんですよ。それらをフィクションの中でどうやって作っていこうかと。喧嘩を撮っていて面白いなと感じたのは、ある程度冷静であれば相手の出方を伺いながらやるところ。喧嘩と言ってもアクションなので、事前に動きは決められていますが、どう飛び出していくのか、そこには役者同士のセッションがあります。そこは演出と芝居が入り込める勝負所ですね。アクションとは別に、殴られた後の痛がるリアクションも大事にしていきました。

ーー次作に向けてはなにか考えていますか?

真利子:次に関してはまだ具体的に動き出してないですね。この映画に今やりたいことをすべて詰め込んだ感じです。でも、この作品を撮ったことによって、これからも映画を撮っていくことに自信がつきました。

ーー自信というと?

真利子:人材の育成が滞っているのは切実な問題で、特に技術部に若い世代が少なくなっているのはよく耳にします。活動の拠点を海外にすることも増えてきて、これから日本の映画業界はどうなっていくんだろうって考えていたのですが、この映画を撮っていく中で希望を感じました。柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎と、その世代の役者たちの腹のくくり方というか、目つきが違うなって撮影中に感じたんです。彼らと映画を作れるのなら、きっと日本映画を盛り上げていけるって。撮影する前は、この映画と心中する覚悟だけでしたが、彼らの純粋な気持ちと観客への姿勢をみて、自分もまだまだ勉強して、これからもいい作品を撮り続けないといけないのだと気付かされました。

(取材・文=泉夏音)

 

真利子哲也

■公開情報
『ディストラクション・ベイビーズ』
2016年5月21日(土)テアトル新宿ほか全国公開
監督・脚本:真利子哲也
脚本:喜安浩平
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、三浦誠己、でんでん
(c)2016『ディストラクション・ベイビーズ』製作委員会  
公式サイト:distraction-babies.com

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