『闇金ドッグス2』山田裕貴インタビュー

山田裕貴が明かす、役者としての決意とこれから「僕は仕事に対して欲望の塊」

「全てのイメージが付く役者になりたい」

(c)2016「闇金ドッグス2&3」製作委員会

ーー今回の『闇金ドッグス2』では、黒田さん演じる忠臣の常連客・岡林が、保険金詐欺の被害に遭う模様が描かれています。

山田:男女間のことなんていろいろあって、惚れてしまったほうが負けとよく言いますが、僕は本当にそう思っています。女の人を見る目はどうやって肥やしていけばいいのか、読者の皆さんに聞きたいぐらいです(笑)。岡林も、純粋な思いで人を好きになってしまった結果があの展開ですからね……。男からしたら悪魔ですよ(笑)。そんな女性いるの!? って。もちろん人を殺すなんてダメに決まってますけど、騙して殺すのが一番タチが悪いと思いますね。もちろんダメですけど、「お前のことを殺す」と言ってから殺すほうがまだマシな気がします(笑)。

ーー(笑)。今回の保険金詐欺もそうですが、『闇金ドッグス』シリーズでは“お金”にまつわるいろいろなエピソードが展開されていきます。

山田:前作の『闇金ドッグス』で、アイドルの女の子がもやしを食べるシーンがあるんですけど、そこが1番響きましたね。自分もそういう時期があったなって。今こうやってお仕事をさせていただいていますけど、昔は明日の電車賃どうしようとか、パスタをどうやって分けて食べようかとか、僕にもそういう経験がありました。お金がないことで、心の余裕がなくなることってやっぱりあるじゃないですか。でもお金は生きていく上で絶対に必要なもの。生きるってなんでこんなに難しいんだろう、お金なんてなきゃいいのにって思うこともあります(笑)。

(c)2016「闇金ドッグス2&3」製作委員会

ーー忠臣と山田さんご自身を比べて、共感する部分はありますか?

山田:忠臣はお金を稼ぎたくて金貸しをやっているわけではなくて、自分の意地とプライドであの仕事をやっているんです。金貸しという職業に覚悟と信念を持っている。そこは僕も同じですね。お金を稼ぎたいから役者をやっているわけではない。かといって、人を感動させたいとか、何かを伝えたいなんて、正直おこがましいと思うこともあります。すごい身勝手かもしれないし、わがままかもしれないけど、自分にとって、一番生きがいを見出せて、熱くなれて、悔しくなれて……っていう仕事が役者なんです。まだ25年ですけど、これまで生きてきて、野球をやっていて熱くなれず挫折したことも全部含めて、そう思えるのがこの仕事なので、それでお金をいただけるのは本当にありがたいというぐらいの感覚なんです。だから、そこは忠臣と一緒なのかなと思います。

ーー「人生のどん底はいつでしたか?」という質問をしようと思っていたんですが、野球で挫折したその時がどん底だった?

山田:どうですかね……。でも野球をやめて、役者をやろうと決めて東京に出てきたその日ですかね。東京に向かう新幹線の中で、家族一人ひとりに初めて長文のメールを送りながら、東京に出てきたはいいけど、「希望なんてあるの? 本当にできるの?」と思っていました。ベランダに出て、ずっと空を眺めていたのを今でも覚えています。そこから挫折はあっても、どん底はないですね。もちろん悔しいことはたさくさんあるし、テレビや映画にももっと出たい、あの役をやりたいなんて、めちゃくちゃ思いますけど、何もなかった時と比べたら、今は本当に幸せだなと思います。でも、僕は仕事に対しては欲望の塊なので、どれだけやっても満足することはないんですけどね(笑)。

山田裕貴

ーー今後、挑戦してみたい役柄はありますか?

山田:『十三人の刺客』のような捨て身で戦う役や、『あずみ』で成宮寛貴さんが演じられていた、刺されても刺されても立ち上がる、生にしがみついているような役はすごいやりたいなと思います。あと、教師役ですね。もしもまた『GTO』があるなら、今度は生徒役ではなく、鬼塚役をやりたいなって。さっき言っていたことと矛盾してしまうんですけど、伝えられないかもしれないからこそ、人に何かを伝えられる役で、伝えようとしたいんです。あと、僕は目標にしていることがあって、「山田裕貴くん、あの役やってたよね」じゃなく、「あの役の人、いいよね」って言われるようになりたいんです。作品の中で生きているほうを先に覚えてほしい。そのあとで僕の出演作品を調べてもらった時に、「この役もやってたのか!」と気付かれないぐらいの方がいいなと思っています。イメージが付くことはすごくいいことでもあるんですが、それなら、僕はすべてのイメージが付く役者になりたいと思っています。

(取材・文=宮川翔)

『闇金ドッグス2』山田裕貴コメント

■公開情報
『闇金ドッグス2』
新宿バルト9ほかにて公開中
出演:山田裕貴、青木玄徳、黒田大輔、菅野莉央 、谷田歩、十貫寺梅軒、波岡一喜、伊藤裕子
監督:土屋哲彦
脚本:池谷雅夫
企画・配給:AMGエンタテインメント 
2016年/日本/82分/カラー/シネマスコープ
(c)2016「闇金ドッグス2&3」製作委員会
公式サイト:yamikin-dogs.com

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