Hey! Say! JUMP・山田涼介、『暗殺教室-卒業編-』で見せた役者としての成長と課題

 続く今作、『暗殺教室-卒業編-』では、同世代で実力派として名高い菅田将暉演じる赤羽業(あかばね かるま)とのタイマン勝負で、そのキレのあるアクションを再び披露している。また、先述したようにほかのキャラクターもうまく引き立てる“抑えた演技”が効いているため、同作は“アイドル映画”ではなく、より幅広い観客の鑑賞に耐えうる作品となっているのも興味深い点だ。この辺りは、山田のJUMP内での変化も影響しているのかもしれない。スター性の強いアイドル俳優は、よく“なにを演じても本人そのもの”になりがちだと指摘されるが、山田の演技はそうした枠にとどまらない可能性を秘めているのではないだろうか。

 一方、今作では女子生徒とキスシーンに初挑戦しているものの、ストーリーを展開させるためのシーンという印象が強く、あまり色気を感じることができなかったのは、山田にとっての課題といえるかもしれない。山田自身、かねてからラブシーンに挑戦したいと語っていたため、期待も大きかったのだが、正直、肩透かしを食った印象は否めない。同グループの中島裕翔は、映画『ピンクとグレー』で想像以上に濃厚なラブシーンを披露していたため、余計にその軽さが目立つ部分もあるだろう。もっとも、少年漫画原作の本作で、濃厚なラブシーンを期待するのもおかしな話だが、もう少し色気があっても良かったのではないか。次回作ではさらに“大人の山田涼介”も観てみたいところだ。きっと、俳優としてさらなる懐の深さを見せてくれるに違いない。

(文=小島由女)

■公開情報
『暗殺教室~卒業編~』
公開中
原作:『暗殺教室』松井優征(集英社「週間少年ジャンプ」連載)
監督:羽住英一朗
出演:山田涼介、二宮和也、菅田将暉、山本舞香、桐谷美玲、竹富聖花、優希美青、上原実矩、橋本環奈、加藤清史郎、知英、成宮寛貴、椎名桔平
(c)2016フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT
(c)松井優征/集英社
公式サイト:ansatsu-movie.com

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