宗教学者・柳澤田実、初の単著『ポップカルチャーと聖性』刊行へ 新時代のカルチャー批評集

 宗教学者/哲学者の柳澤田実による初の単著『ポップカルチャーと聖性』が、2026年10月26日に株式会社blueprintより刊行されることが決定した。

 『ポップカルチャーと聖性』は、柳澤田実が2024年12月からリアルサウンド ブックにて開始した連載『ポップカルチャーと「聖なる価値」』の全記事に加えて、2020年代にさまざまな媒体に寄稿した作品評を収めた一冊だ。現代のポップカルチャーやそのファンダムには「聖なる価値」を求める指向性が存在するという見立てのもと、ビリー・アイリッシュやザ・ウィークエンド、藤井 風といったポップスターから、『罪人たち』や『アトランタ』といった映画/ドラマ作品、『この世界の片隅に』や『チェンソーマン』といった日本のアニメ/漫画作品まで、宗教学者/哲学者の視点から読み解いた新時代のカルチャー批評集となっている。

 著者の柳澤田実は、2024年に国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2024」にて行った講演「消費社会の宗教:ファンダム・カルチャー」で大きな注目を集め、以降、現代の「推し活」を宗教学的な見地から考察する識者として、さまざまなメディアで自身の考えを発信している。『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP)の朝井リョウ、『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(中公文庫)の加藤喜之といったベストセラーの著者たちとの対談も話題となり、単著が待望されていた。9月末には新潮社の情報・教養サブスクリプション「新潮QUE」のYouTubeチャンネルにて、『推したちとどう生きるか』の著者・三宅香帆との対談も公開される予定だ。

 装丁は川名潤が手がけ、カバーアートにはアーティストデュオ・Nerholによる作品「Girls Reading a Newspaper」が採用されている。

「はじめに」より抜粋

 音楽や映画、絵画が私たちに与えてくれるものを思う時、それを単なる「消費活動」と呼ぶには余りあるものがある。同時に、心を揺さぶり、社会、あるいは世界全体について、多層的な見方を教えてくれるこれらの作品を、商品という交換可能な形に平板化された「コンテンツ」と呼ぶことにも私は躊躇を覚える。それはいわゆる高尚なハイカルチャーだけでなく、大衆向けとされるポップカルチャーも同様だ。むしろマス=大衆に受け入れられるポップカルチャーこそ、それぞれの時代の人々の切実な思いや願い、言葉にならない感情を映し出すと同時に、受け取る側に、生きていくための様々な示唆を与えているのは間違いがないだろう。

■書誌情報
『ポップカルチャーと聖性』
著者:柳澤田実
価格:2,700円+税
発売日:2026年10月26日
出版社:blueprint
ISBN:978-4-909852-68-7

【目次】
はじめに

第1部
1章 孤独なポップスターの音楽に聖性は宿る
2章 ディヴィッド・リンチ:アメリカの神聖な恐怖
3章 チャーリーxcx:パーティーガールの実存主義
4章 Ye(カニエ・ウェスト):インターネット時代の罪と赦し
5章 ロザリア、ダイムズ・スクエア・シーン、ウォーホル:カトリックへの回帰が意味するもの
6章 『罪人たち』と『アトランタ』:ブラック・シュールレアリズムの超現実的な現実
7章 ザ・ウィークエンド:退廃(デカダンス)の王

第2部
8章 ケンドリック・ラマー:『GNX』にみる神話としての聖書
9章 ドレイク:欺瞞を引き受ける偉大なポップスター
10章 藤井 風:“終わり”からの眼差し
11章 『チェンソーマン』:神的暴力と悪魔の救済
12章 『この世界の片隅に』:死のない生活
13章 岡﨑乾二郎:新たなルネサンスの徴候
14章 ジャン=リュック・ゴダール:プロテスタントが描いたカトリシズムの「処女懐胎」

おわりに チャーリーxcx、エメラルド・フェネル:世界の終焉を退ける執着(obsession)

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