『HHhH』のローラン・ビネ最新作『遠近法』が登場 ルネサンス期フィレンツェを舞台にした書簡体ミステリ

 『HHhH――プラハ、1942年』で本屋大賞翻訳小説部門を受賞したフランスの作家ローラン・ビネの最新翻訳作『遠近法』(高橋啓訳)が、6月29日に東京創元社の海外文学セレクションより刊行された。

 ローラン・ビネはこれまでに実在の哲学者が多数登場する『言語の七番目の機能』、インカ帝国がスペインに征服されず逆にスペインを征服する歴史を描いた『文明交錯』など、刺激的な作品を発表してきた。

 最新作『遠近法』の舞台は16世紀のイタリア・フィレンツェ。ルネサンスまっただなかの都市で起きた、実在の画家ヤコポ・ダ・ポントルモの殺害事件を描く歴史ミステリである。サン・ロレンツォ聖堂のフレスコ画を10年以上描き続けていたポントルモが槌で殴打され、鑽で胸を刺されて殺害される。彼のアトリエには、フィレンツェ公コジモ・デ・メディチの長女マリアの顔をしたヴィーナスとキューピッドの猥褻な絵が残されていた。コジモは画家・建築家・美術史家のヴァザーリに事件の解明を依頼。ヴァザーリは、ローマでサン・ピエトロ大聖堂の建設に携わっているミケランジェロに書状を送り、助言を求める。

 ヴァザーリとミケランジェロ、マリアと遠縁のフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシス、カトリーヌとコジモの敵であるフランス軍元帥ピエロ・ストロッツィら、火薬庫のような当時のヨーロッパを舞台に繰り広げられる陰謀劇と恋愛劇が描かれる。

 本作最大の特徴は、176通の手紙のみで構成された書簡体ミステリであること。実在の歴史上の人物たちのあいだで行き来する手紙から、事件の概要、推移、そして真相が浮かび上がる構成となっている。

■書誌情報
『遠近法』
著者:ローラン・ビネ
訳者:高橋啓
発売日:6月29日
出版社:東京創元社(海外文学セレクション)

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