【漫画】飛行機で世界を飛び回る少女が目にした光景とは? 手描きの積乱雲の質感が圧巻『空とぶおしごと』
まるで、こどもの頃に読んだ絵本のように、窓から異世界を覗いているような気分になれる漫画『空とぶおしごと』がSNSに投稿されている。本作の主人公は飛行機で世界を飛び回り、世界地図を作るお手伝いをする人物・こはね。広大な空、断崖絶壁の谷に流れる溶岩、巨大な積乱雲などーー。こはねは様々な世界をまたにかけ、今日も飛行機で旅をする。
本作はやましたたかひろ(@cofuni)として商業誌でも活動する漫画家・フニ緒さんが趣味で描いた作品なのだという。創作のきっかけや背景描写について、商業活動と同人活動を両立する背景など、話を聞いた。(あんどうまこと)
続きを読むには画像をクリック
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
フニ緒:商業誌の仕事とは別に、趣味でも漫画を描いてます。本作もプライベートで創作した作品のひとつであり、15年くらい前に描いた漫画です。
定期的に「のんびり空を飛ぶ漫画」が描きたくなることがあり、本作においては芦奈野ひとし先生の『カブのイサキ』(講談社)という飛行機の漫画を読んでスイッチが入ったことが創作のきっかけです。
趣味として描く漫画は技術的な実験をしていることも多く、本作ではラフな作画に挑戦しました。
ーーなぜ「ラフな作画」に挑戦した?
フニ緒:定規を用いて直線を引いたりなど、きちんとした絵を描くことに窮屈さを感じていたからです。「どこまで絵を崩して、ラフな感じで描きつつ、漫画として成立させられるんだろう」と考えながら本作を描きました。
また、あえてラフな線にすることで、実際の積乱雲など、その絵の向こう側にある「本物」を読者に想像してもらえるかもしれないということも意図していました。
ーー「ラフな作画」といいつつ、本作は背景描写、とくに積乱雲の表現が非常に緻密で印象的です。
フニ緒:背景に関しては、自分としてはそれほどきっちり描いたという感じではないんです。私はビルや建物のように定規で直線を引き描くような人工物よりも、雲や煙、木のような、ふわふわとした「不定形なもの」を描くほうが得意で。
本作の背景は不定形なものばかりだったので、自分の得意な線が出て、楽しみながら描くことができました。普段から雲の写真を撮るのが好きなことも、積乱雲を描く上で役に立ちましたね。
ーーフニ緒さんが「空の旅」に惹かれる理由は?
フニ緒:時々のんびりした、上も下もないような自由なところでまったりしたいという思いがあるのだと思います。海で浮き輪に乗ってプカプカ浮いているような感覚に近いかもしれません。
世界を救うためとか、親の仇のためといったモチベーションではなく、のんびりとしている世界観を漫画で描いてみたいと思っていました。のんびりとした世界を描くことで、自分自身もその場にいられるような感覚になれる。そこが本作のような漫画を描く楽しさでもあります。
ーー特にお気に入りのシーンを教えてください。
フニ緒:どれかひとつを挙げるとすれば、やはり積乱雲のシーンです。ラフな線だけで描くことができますし、やっぱり曇、かっこいいじゃないですか。そのため積乱雲を描く作業は本当に楽しかったです。
ーー商業誌の活動と並行して、同人活動(プライベートでの創作)を続けられている理由は?
フニ緒:モチベーションの違いですね。商業誌は「まずお客さんに楽しんでもらって、ついでに自分も楽しむ」。プライベートは「まず自分が楽しんで、ついでにお客さんにも楽しんでもらう」。同人活動では商業的な商品になりにくい漫画を描きつつ、どちらの創作活動にも活かせるような漫画の技術的なトライアルを行う場として創作を続けています。
ーー漫画制作の過程で、最も心が躍る瞬間はいつでしょうか。
フニ緒:作品を作り始める際「こんな漫画を描いたら面白いんじゃないか」と考えている時が1番楽しいです。想像通りにはいかずに苦労することもありますが、完成間近になると「なんか寂しいな」「あ、もう終わっちゃう」と思うようになります。
ーー今後の目標を教えてください。
フニ緒:漫画を描くのは大変な作業でもありますが、描き始めたり、思い描いていたお話が少しずつ形になったりすると「楽しいな」と感じます。これからも無理のない範囲で、自分が面白いと思うものを大切に、たくさんの作品を作っていきたいです。