【特別対談】「ウィザードリィ」を遊びたくなるーー 『ブレバス』蝸牛くも×『ロードス島戦記』水野良がゲーム遍歴を語り尽くす

 「ウィザードリィ」の世界観で繰り広げられる『ブレイド&バスタード』を展開中の蝸牛くもと、日本人によるゲーム・ファンタジーの走りともいえる『ロードス島戦記』の水野良。世代は異なるものの、同じく「ウィザードリィ」に多大なる影響を受けたという作家両氏の、夢の対談が実現した。

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「ウィザードリィ」との出会いは?

――2010年代にデビューされた蝸牛さんの作品は、80年代に水野さんたちが作り上げた和製ファンタジーの世界観を、文脈的に多々受け継いでいるところがあると思います。お二人は、これまでに面識はあったのでしょうか?

水野良(以下、水野):お会いするのは初めてですね。ただ、グループSNEとお仕事をしておられるので、御活躍はよく存じておりました。

蝸牛くも(以下、蝸牛):はい、グループSNEさんには、『ゴブリンスレイヤーTRPG』でお世話になりました。小学生の頃に『ロードス島戦記』を読んだのですけれど、その頃の自分は、まさかお会いできる日がくるとは思っていなかったので、本当に光栄です。

水野:小学生ですか。それは嬉しいですね。

──年齢も、デビュー時期も、世代が大きく異なるお二人ですが、どちらもゲーム文化が背景のファンタジー作品でデビューされたという共通点があります。よろしければ、それぞれのゲーム遍歴をお聞かせください。

水野:ゲーム自体は子供の頃から人生ゲームや魚雷戦ゲームなどで遊んでいました。中学生の頃には、ちょうど『インベーダーゲーム』とかが流行って、ゲーセンに入り浸るダメな子供に。高校生の頃から、シミュレーションゲームやなんかのボードゲームを遊ぶようになり、大学生になって安田さん(編注:後にグループSNEを設立する安田均氏)のところに出入りするようになったわけです。そこで、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、『D&D』)に出会い、さらにはApple IIの『ウィザードリィ』に触らせてもらったんです。

──『D&D』の方が先だったんですね。

水野:そうですね。1回生の時に、安田さんから紹介されて──当時は英語版しかなかったんですけれど『D&D』の赤箱を買いまして、拙い英語力を駆使して翻訳し、ゲームマスターをやりました。で、『ウィザードリィ』についても、安田さんの持っているApple IIで、キャラクターを作ってちょこちょこ遊ばせてもらっていました。自宅でも、NECのPC-8801の無印(編注:1981年の初代PC-8801のこと)を早い時期に人から預かっていまして、当時、『ザ・ブラックオニキス』やなんかのコンピューターゲームを触ってはいたんですよ。

 ただ、本格的にやったのは大学3回生の時で。Apple IIc っていう廉価版のモデルが30万円くらいで発売されたんですね。それを30回ローンで購入しまして、『ウィザードリィ』はもちろん、『バーズテイル』(編注:米エレクトロニック・アーツの人気RPGシリーズ)や『マイト&マジック』など、Appleのゲームをあれこれ触りつつ、やっぱりダントツに遊んだのが『ウィザードリィ』でした。

「Wizardry」ロゴ

──Applle IIのオリジナル版以降も、『ウィザードリィ』は様々な移植版や派生作品が発売されましたが、そのあたりは?

水野:ファミコンの、末弥純さんの絵のやつは「うわ、絵綺麗! むっちゃ綺麗!」と思いながらプレイしましたね。僕らが最初にやったのは、粗いドット絵のやつだったじゃないですか(笑)。ただ、その後はあまりやれていないんです。最近、『ウィザードリィ外伝 五つの試練』を少し触りました。ずいぶんと魔法とか変わっていて。謎解きがあったり、シナリオ自体はすごく面白かったんですけれど、ちょっと忙しさもあって途中で置いちゃってます。

蝸牛:自分が『ウィザードリィ』を最初に遊んだのは、中学生の頃だったかな。プレステかゲームボーイで出ていたやつの、どちらかをプレイしたのが最初だったと思います。『ウィザードリィ』というゲームの存在自体は、それこそ小学生の頃には知っていたんですけれど、そのあたりはちょうど空白期というか、関連作品があまり出ていなかった頃だったんですよね。だから、最初は漫画や小説からだったんです。

水野:家庭用ゲーム機版は、Apple版とはシステムが違うって聞いたことがあります。

蝸牛:はい。たとえばゲームボーイ版だと、まずマップが違っていましたね。パソコンだと各フロアは20×20でしたが、ゲームボーイ版では16×16でした。それと、構成も違っていて……だいたいのプレイヤーは、地下4階のモンスター配備センターに行ったあと、すぐエレベーターで9階に行っちゃうじゃないですか。だから、ゲームボーイ版では地下5階から8階までが、ラスボスのワードナを倒した後に行けるエクストラダンジョンになっているんですよ。

水野:そうなんだ(笑)。

蝸牛:オリジナルのApple版は、流石に自分はやったことがなかったんですが、こないだSteamでリメイク版が出たじゃないですか。あれで初めて触ってみたら、KATINO(編注:モンスターを眠らせる魔術師の呪文)が効かなくて……。

水野:そうそう、Apple版ではそうだった。KATINOが効くシステムと効かないシステムとでは、世界が全然変わるんだよね。

蝸牛:お試しでパーティーを組んで潜ってみて、まあ何が出てきてもKATINOが通れば大丈夫くらいの気持ちでいたんですけれど、1階でBUSHWACKER(編注:アッパー階層に、たいてい集団で登場する盗賊系モンスター)に襲われた時に連打しても全然通らない。

水野:BUSHWACKERは『ウィザードリィ』で全滅する1番最初の敵っていうね。『ブレイド&バスタード』でも、そういうシーンなかった?

蝸牛:4巻で、そんな話をネタにしました。竹内誠さんの『リルガミン冒険奇譚―ウィザードリィ異聞』っていう短編集にそういうエピソードがありましたんで(笑)。

蝸牛くものゲーム遍歴

──『ウィザードリィ』は中学時代からとして、ロールプレイングゲームでは?

蝸牛:よく覚えていないんですけれど、幼稚園の頃、ファミコンで遊んだ『ドラゴンクエストⅡ』とか『ドルアーガの塔』が最初だったとは思います。ただ、きちんと腰を据えてというか、ゲームとして向き合って遊んだのが、小学生の頃、父が持っていた『サムライメック』(編注:ヒューリンクス、1991年)っていう、国産Macintosh初のオリジナルRPGでした。これがまた、割とトンチキな世界観のゲームだったんですよ。

 それと同時期に、ゲームブックの『ソーサリー』に出会いまして、すっかり道を踏み外しました。TRPGについても、そういうものが存在するんだとその頃に認識したんですけれど、周囲に遊んでいる人がいなかった。ちゃんと遊べるようになったのは、中学生になって、オンラインセッションとかができるようになってからでした。

水野:早い早い。中学で手出したらあかんやつですよ、それは(笑)。

蝸牛:IRCチャットでプレイしていたんですけど、当時は家に帰ってきて、もう夜中の1時2時ぐらいまで、毎日ずっぷりとTRPGやっていましたから。寝食忘れて遊んでたシステムとして『異界戦記カオスフレア』がありましたね。いや、たしかに中学や高校ではまっちゃいけないものでした(笑)。

水野:オンラインでってなっちゃいますと、どこにいようが毎日集まれてしまいますしね。

──グループSNEと、水野良という名前を意識したのもその頃に?

蝸牛:小学3年生かな……。

水野:早い早い。(笑)

蝸牛:小学3年生くらいの時に『ソード・ワールドRPG』のリプレイを読んで、それで知りました。『ソード・ワールドRPGリプレイ集風雲ミラルゴ編2 アドベンチャラーに任せとけ!』(富士見書房、1996年)を最初に買って、今でも家にありますよ。

──小説からではなかったんですね。

蝸牛:はい、最初はそうでした。それでリプレイというのがあるんだと知って、「スニーカーG文庫」で出ていた『ロードス島戦記』のリプレイや、ルールブックを買ったんです。で、中学ぐらいで、F.E.A.R.さん(編注:TRPG制作・出版会社、有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチのこと)が『ナイトウィザード』とか『アリアンロッドRPG』とかをバンバン展開していた頃に、オンラインセッションを募集しているのを見つけて、そこに入っていった感じでした。

水野:ゲームマスター(以下、GM)とプレイヤーだと、どっちが多かったんですか?

蝸牛:やり始めの頃は、プレイヤーの方が多かったかな。今は、持ち回りキャンペーンって言いまして、キャラクターは共通で、セッションごとにGMを交代する感じのキャンペーンをやっていますから、最近はトントンという感じですけれど。

『ロードス島戦記1 RPGリプレイ集呪われた島編』
(著:水野良/グループSNE・原案:安田均/KADOKAWA)

水野:やっぱりね、RPGはキャンペーンをやってこそですものね。

蝸牛:今ちょうど、『ロードス島伝説』のキャンペーンをGMでやらせてもらっているんです。

水野:『伝説』はやりやすそうですね。魔神っていう、わかりやすい敵がいる。

蝸牛:『ロードス島戦記』の時代だと、やっぱりパーンたちが主役の話になっちゃうところがありますので。『伝説』の方だと「百の勇者」がいて、誰でも問題ないっていう感じですから。

水野:そうですね。『魔法戦士リウイ』の方でも、ファーラムの剣は複数あっても良いっていう設定で、最終巻で全冒険者が集まって、アトンを倒すという構想でやりました。

蝸牛:「ドラゴンマガジン」で読んでました(笑)。

水野:ありがとうございます。

──そうした作品を通して、影響を受けていったわけですね。

蝸牛:もちろん、小説の『ロードス島戦記』も小学生の頃に読んでいて、めちゃくちゃ面白かったです。OVA版もちょっと後くらいに見てました。自分が色々触れてきたファンタジー小説の中で、基礎の方に入っているのがやっぱり『ロードス島戦記』ですね。

 それと、『ゴブリンスレイヤー』の関係で、ロサンゼルスのイベントに招待していただいて、向こうのファンの方とお話しする機会があったんですが、その時にこういう風なことを言われたんです。「俺たちは『D&D』が好きだ。だけど、『D&D』が好きなのは俺たちしかいないと思ってた。でも、『ロードス島戦記』のOVAを日本人が作ってくれた。俺たち以外にもこういうのが好きなやつがいるんだっていうのが、すごく嬉しかった。だから、あんたにはこういう作品をもっと書いてほしい」この言葉には本当に勇気づけられて、原動力になっています。

水野:僕も、自分ではゲーム・ファンタジーだって言っていたんですよね。『魔法戦士リウイ』だけは「ドラゴンマガジン」のスタイルで書かせてもらったんで、あれは唯一僕の書いたキャラクター・ファンタジーなんですけど、だいたいの作品では簡単なデータみたいなのを常に頭に入れながら書くようにしてたんで、そういう意味では僕が書いているのはゲーム・ファンタジーだって自認しています。こういう風に、コンピューターゲームっぽく小説を作ってる人っていうのは、絶滅危惧種っていうか、他にいないんじゃないかな。

『ウィザードリィ』を遊びたくなる

──『ウィザードリィ』をやり込んだ人間として、水野さんに『ブレイド&バスタード』の感想をお聞きしたいです。

水野:いや、本当にね、読んでいると『ウィザードリィ』を遊びたくなるっていうのがありました。

──自分も同じことを感じました。読んでいると、プレイ経験が走馬灯のように……。

水野:カシナートの剣の描写が良かった。あれ、実はMURAMASA BLADEよりも強いんですよね。レベルの低いキャラクターに持たせた時、確実に多段攻撃をしてくれるんで。レベル1のキャラクターを育てる時に、絶対必須の武器です。

──多段攻撃の根拠が、回転だというのは色々ひどいですけれど(笑)。

水野:元がフードプロセッサーなのでしたっけ。そのあたりの設定は、ゲーム内には出てきました?

──『ウィザードリィIV ワードナの逆襲』で、ブレードが複数ついた回転剣として図示されたのが最初ですね。

蝸牛:あれ、作品によっては回ったり回んなかったりするので、じゃあもうこれ全部そういう剣が別個にあるっていうことでいいじゃないかみたいな感じで書きました。

水野:牙の教会は『リルガミンの遺産』ですよね。

蝸牛:L'kbrethのいる山の中に、教会を作っている変な連中ですよね。ベニー松山さんの『小説ウィザードリィII 風よ。龍に届いているか』で邪教団っぽく書かれてた印象を、自分は引き継いでいる気がします。

(以下、『ウィザードリィ』の思い出話が続きましたが、大部分を割愛させていただいております。)

水野:CREEPING COINをモンスターではなくガジェットとして出したのは?

蝸牛:あれはですね、小説の方で稼ぎ用のモンスターを出してもあまり面白くならないと思いまして。だけど、どこかで使いたいなと考えているうちに、思いついたんです。ソ連の『ストーカー』っていう小説があるんですけれど、ナットに紐を結んで投げて、行く先の安全を確かめるみたいな描写が好きだったので、そのぐらいの感覚でやりました。

水野:ピットや回転床にも反応するのかなと思いながら読んでました(笑)。僕、『ウィザードリィ』の、特にリルガミン王国の設定とかってあまり気にしながらプレイしたことがなかったんですよね。あの辺の歴史っていうのは、公式のやつがあったんですか?

『ブレイド&バスタード6 -冒険者達の凱歌-』
(蝸牛くも/ドリコム)

蝸牛:一応、制作者のロバート・ウッドヘッド氏から聞いた話を元にしたという、多摩豊さんの『ウィザードリィ正伝 トレボーと黄金の剣』(ログアウト冒険文庫、1994年)という小説があります。ただ、これが完全な真実というわけではないと、あとがきに書かれていましたけれど。若い頃のトレボーとワードナの話ですね。公式なのは、たぶんそれくらいじゃないかな。

──アミュレット(護符)の来歴が語られる小説ですね。

水野:あのアミュレットは……いいアミュレットですよね(笑)。

──水野さんも、アミュレットを持ち帰らなかったタイプですか?

蝸牛:持って上がっちゃうと、強制的に取られちゃいますものね。

水野:迷宮の入り口で合流するキャラクターを一人待機させて……こういう話をしていてすごく気になったんですが、『ブレイド&バスタード』の読者層はどのくらいの年齢になるんでしょうね。

蝸牛:編集部の話では、40代ぐらいがボリュームゾーンの読者層になっているみたいです。自分としては、『ウィザードリィ』を今の時代にやるとなったら、やっぱり昔から親しんでいる人に楽しんでもらえるようにしつつ、新しい人というか、そもそも遊んだことのない人にも入り込んでもらえるようにというのを狙ってはいます。伝わるかどうかはわかりませんが、伝わることを信じて書いている感じですね。

水野:少なくとも、僕みたいな昔やった人間には、もう一度遊びたくなるっていう、すごくいい小説ですよ。『ゴブリンスレイヤー』も読ませていただいてて、いわゆる作戦級っていうか、キャラクターと戦闘で物語が成立してるっていうのがすごいなと思ってます。主人公が地味っていうのも共通してるじゃないですか。

蝸牛:あの辺は、趣味ですね。『ゴブリンスレイヤー』については、あまり背景世界とか大きな物語っていうのはなくて、完璧にもう本当にどっかのサークルの遊んでるTRPGのPC(プレイヤーキャラクター)くらいの感じで書いていますね。背景世界があっても、その世界の主人公ではないよね、ぐらいの感覚で。小説の主人公イコールその世界の主人公みたいな感じにはならないのはたぶん、TRPGをやってた影響が大きいかなという気はします。

水野:そういう意味では、僕もそうなんですけど、主人公がいわゆる世界系とは逆っていうか。『スレイヤーズ』に代表されるキャラクター・ファンタジーって、作者の神坂さんが言い切ってましたけど、もうリナ=インバースのための世界なんですね。それとは違って、世界の中にいる1人ってワン・オブ・ゼムみたいな感じの主人公で、しかもどちらかといえば英雄を書いていないというのがすごいなと思ってて。ゲーム小説としては、僕以上にストロング・スタイルの小説を書いていらっしゃいますよね。

蝸牛:気恥ずかしいところもあって、あえて主人公・主人公していない人間にしているところもなくはないんですけれど(笑)。書いていいって言われたら、それこそパーンだとか、『伝説』の方のベルドみたいな主人公でドンっとやりたい気持ちもありますし。

水野:逆に、そっちの方がどちらかといえば難易度が低いような気がするんですよ。蝸牛さんは小説としては、1番難易度の高い作品を書いていて、それで結果出してるっていう印象があります。僕から見たら、『ウィザードリィ』の小説を書くって、狂気の沙汰ですよ。しかも、忠実に面白く書くとか。

ーー(一同笑)

蝸牛:ありがとうございます。先ほどもお話しましたが、『ウィザードリィ』を実際に遊べていなかった時期に、漫画とか小説とかでこういうゲームなんだなっていうのをずっと思ってた上で、中学校の時に初めて触ったのがあって。その世界の1キャラクターを作って遊んでいた感覚、そのノリのままではありますね。自分が好きなのはこういうやつだったんだよっていうのを、ひたすら書いてるだけな感じです。

水野:この作品を読んで『ウィザードリィ』を遊んでくれる人が増えたら、ファンとしてはそれが1番嬉しいですし、それだけの内容がある話だから。本当にありがとうございます、という感じですよ。

蝸牛:そう言っていただけると、すごく嬉しいです。

なぜファンタジー作品を創るのか

──現在、ファンタジー作品が数多く商業書籍として刊行され、毎年何十本もアニメ化されているような状況が続いています。このジャンルの魅力について、お二人の意見をお聞かせください。

水野:そうですね、自由にやれるからっていうのがあるんじゃないかなとは思います。主人公にとっても、作者にとっても都合のいい世界を作れるっていうのは、やっぱりファンタジーの魅力の1つですよね。他のジャンルも同じではあるんですけれど、これがSFになると考証が稚拙になってしまうと興醒めしたりするじゃないですか。ファンタジーについては割と自由ですし、ステレオタイプの世界観もあって、それをベースにできるという部分があるんじゃないかと思います。SFだったら、新しい種族を作ったら、たとえば耳が長くて綺麗で、みたいなことをいちいち全部説明しなきゃいけないですけど。ファンタジーだったらエルフですって言ったら、もうそれでみんなある程度認識できちゃいますからね。そこは楽なのはあると思いますよ、書き手も読み手にも。

蝸牛:まあ、やりたいですけどね。「キャプテンフューチャー」みたいに、木星にはジャングルが広がってるみたいなのを(笑)。宇宙船かっ飛ばしてたら、気づいたら光速を超えちゃってたから、相対性理論は観測事実として間違ってたんだ! とか。

『魔法戦士リウイ1』(水野良/KADOKAWA)

水野:SFももちろん好きなんですが(笑)。理由はわからないのですが、自分にとってしっくりくるのは、やはりファンタジーのほうかな、という気がします。創る側に回ってからは、特にそう感じます。

──そもそも、ファンタジーが好きでいらっしゃったからと。

水野:はい、それは間違いないですね。ファンタジー小説は何冊も読んだし、ファンタジーと名のつく映画も結構観ました。なによりゲームとファンタジーの親和性は圧倒的に高いじゃないですか?

蝸牛:自分も同じですね。色々書いたし読んだし、ゲームを作ったりもしてますけど、結局なんかぐるっと1周回って『ソーサリー』みたいなやつをやりたいみたいな話になってきます。多分、1番最初の方に触れたのがそれだったからっていうのがあります。

水野:僕にとってみれば、さっき話した自由度の高さっていうのが、僕自身創作する上でもすごい魅力だなと思ってて。ただ、僕は他人が作ったことのないような世界を作りたいっていうのもあるので、ちょっと変わった世界を作りすぎて、遠回りしすぎているのかなと反省しているんですけど(笑)。でも、それが好きなんだからしょうがないじゃんと思いますね。『グランクレスト戦記』とかでも、自分が好きな世界観を作って、そこで物語を作れるっていうのが1番魅力的ですね。ただ、キャラクターから書けよと人には言います。キャラクター大事。世界から作っちゃダメよ(笑)。

──最後に、お互いに一言お願いします。

蝸牛:本当に、『ロードス島戦記』に出会っていなかったら、ここまで来れていなかったのは間違いないと思います。色々と受け取ったものを、これからも頑張って書けていけたらいいなと思っています。

水野:正統派のゲーム小説、ゲーム・ファンタジーの系譜に連なるものをしっかりと、これからも書き続けて欲しいですね。何て言えばいいのかな、正統派っていう言い方もちょっと違うかもしれないけど、『ウィザードリィ』のようにレトロ感のあるゲーム、ファンタジーなんかを、これからも書き続けてほしいなと。僕が読んでいて、若かった頃にゲームをしていた感覚が呼び覚まされるような、そんな小説をこれからも書き続けてほしいなという風に願ってます。

蝸牛:頑張ります。本日はありがとうございました。

水野:ありがとうございました。

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