言語はいつ、どのように生まれ、進化してきたのか スティーヴン・ミズン『言語の人類史』刊行
スティーヴン・ミズンによる『言語の人類史――言葉の進化の謎を解く』(河出書房新社)が3月27日(金)に発売された。
言語はなぜ、いつ、どのように生まれ、いかに進化してきたのか――。本書は、この人類最大の謎に、『心の先史時代』『歌うネアンデルタール』といった著作で世界に名を馳せる考古学者、ミズン教授が壮大なスケールで挑んでみせた大著。言語の発生と進化のシナリオをジグソーパズルにたとえながら、それぞれのピースを集め、パーツを組み上げることで全体像を描き出した「驚異的な偉業」とも称される画期的な一冊。
サルの鳴き声、声道のしくみ、石器の製作、子どもの言語学習、火の使用、脳の進化、遺伝、意味や発音の変化、抽象思考、象徴性……、「言語の進化」に関するパズルのピースは多岐にわたり、この知的な仕事は、言語学、考古学、人類学、遺伝学、神経科学、心理学、動物行動学などなど、各分野の先端的知見を駆使しながら、壮大なスケールのシナリオを形づくっていく。訳者・岩坂彰が作成した関連年表、図式化した目次も収録。
(「はじめに」より)
2020年頃、私は、言語学と考古学、コンピューター科学と人類学、哲学、心理学、遺伝学の最近の研究の中に、言語進化を総合的に説明する見方の断片が埋め込まれているのではないかと考えるようになった。各分野の間に橋を架け、これから必ず現れてくる新発見や新説にも耐えうるであろう見方である。多くの学術分野の中からそうした断片を見つけ出すことは大仕事だったが、それに加えて、断片同士がどうつながり合うかも考えなければならなかった。それはピースをつなぎ合わせるジグソーパズルだった。その結果が本書となって結実したのである。
(「第1章 言語の謎」より)
本書は、古い証拠から新しい証拠まですべてのピースを集め、言語の進化というこのジグソーパズルを完成させようとする試みである。ジグソーパズルを解くには、まず、連続するピースをつなぎ合わせていくつかの断片的なパーツを作るところから始めるしかない(それ自体がミニパズルである)。最初は縁のところのピースから始め、全体の枠を作る。その枠の部分が、中に何が入るかのヒントとなる。枠ができあがったら中に入る各パーツを組み上げていく。
それぞれのパーツが分かりやすい絵柄になっているとありがたい。すべてのパーツが組み上がり、配置されると全体像が浮かび上がる。言語がいつ、なぜ、どのように進化したかという絵図である。
目次
第1章 言語の謎/第2章 人類史概説/第3章 言葉と言語/第4章 サルの鳴き声/第5章 発声器官と聴覚/第6章 アイコン的な語と恣意的な語/第7章 道具の製作/第8章 人工言語に学ぶ/第9章 語の区切りと意味を学習する/第10章 火/第11章 言語と脳/第12章 言語の遺伝学/第13章 言葉は変わり続ける/第14章 言語、知覚、思考/第15章 指標から象徴へ/第16章 結論:言語の進化
著者紹介
著者:スティーヴン・ミズン(Steven Mithen)
英レディング大学・初期先史考古学教授。スレード美術学校、シェフィールド大学、ヨーク大学、ケンブリッジ大学で学ぶ。専門は先史時代の狩猟採集民および初期新石器時代の農耕民。ヨルダン南部とスコットランド西部で長期的なフィールドワークを行う。ロンドン・レビュー・オブ・ブックス誌、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス誌、ニュー・サイエンティスト誌、ガーディアン誌などに寄稿するほか、『心の先史時代』、『氷河期以後』、『歌うネアンデルタール』など200以上の論文、著作を執筆している。2004年にイギリス学士院フェローに選ばれた。
訳者:岩坂 彰(いわさか・あきら)
1958年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。編集者を経て翻訳者に。訳書に、『快感回路』『触れることの科学』『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』『あなたがあなたであることの科学』『一冊でつかむ哲学』(以上、河出書房新社)、『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書』(みすず書房)、『歴史主義の貧困』(日経BP)、『「うつ」と「躁」の教科書』(紀伊國屋書店)、『うつと不安の認知療法練習帳』(創元社)など多数。
■書誌情報
『言語の人類史――言葉の進化の謎を解く』
著者:スティーヴン・ミズン
訳者:岩坂彰
価格:4,950円(税込)
発売日:2026年3月27日
出版社:河出書房新社