【漫画】何をしてるかわからない部活動はあった? オチも青春で甘酸っぱい『セロハンテープ部』
セロハンテープを使うだけの部活? 短編漫画『セロハンテープ部』がXに投稿されている。独特な部活動をテンポよく描きつつ、余韻のあるオチまで導くユニークな作品だ。
作者は現在「カドコミ」で『てのひら開拓村で異世界建国記 ~増えてく嫁たちとのんびり無人島ライフ~』を連載中のヤツタガナクトさん(@nactyatsutaga)。2015年に描かれたという本作の着想や制作当時の背景について振り返ってもらった。(小池直也)
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――こちらは2015年の作品ということですが、振り返ってみていかがですか。
ヤツタガナクト:当時はちょうど長く続けていたアシスタントを辞め、自分の作品を描き始めた頃でした。かなり前ですが絵柄は既に固まっていたため、そこまで変わった印象はありません。拙い部分は多いですが、コマ運びのテンポ感などは逆にこの頃の方がいい気がします。
――セロハンテープに着目された理由は?
ヤツタガナクト:最初は言葉遊びだったんです。語呂の良さや単語の組み合わせで「濁音コレクター」とか「生き方検定」など、何かのタイトルっぽい単語を先に適当に作っていて。その中にあった「セロハンテープ部」を小話として広げました。
――セロハンテープを巻き直したり、「解体と構築」や「部訓」などのワードもコミカルでした。
ヤツタガナクト:“部活”として成立させるために色々なテープの用途を羅列したんですよ。そのなかで、指に巻いた時のキュっとした圧迫感を「ドキドキ」に変換できるんじゃないか、これは緊縛やフェティッシュの最小単位なんじゃないかと思い「なんかエロい」というセリフに繋がったのを覚えています。
――ほっこりとさせるエンディングについては?
ヤツタガナクト:自分の小学生の頃は、まだ紙の手紙をクラスで回すことが流行っていて、どういう経緯だったか忘れましたが、破られた手紙をセロハンテープで復元したという思い出があります(笑)。その記憶がオチの着想でした。
あとは多分、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる、ドクへの手紙のシーンを見てマネしたくなったのもあるかもしれません。一度バラバラになってから、テープで復元されたメッセージになぜかロマンを感じていました。
――作画のこだわりなどはありますか?
ヤツタガナクト:8年ほど週刊や月刊作品に携わっていたので、そのアシスタント時代に培った技術をフルに活かして描いてやろうと思っていました。本作を機に短編漫画を何本か描いたことがきっかけで出版社からお声がけいただきました。
――現在連載中の『てのひら開拓村で異世界建国記 ~増えてく嫁たちとのんびり無人島ライフ~』は長く続けられていますが、作品の紹介と見どころなどコメントをお願いします。
ヤツタガナクト:主人公は病弱で夭折し、異世界に転生して「てのひら開拓村」という自分だけの空間を開拓できる能力を授かった少年・カイ。彼はその異世界の宗教団体に「邪神の祝福を受けた子」として島流しになり、その島で出会った少女・アビスと一緒に無人島と開拓村、ふたつの世界を発展させていくというお話です。
コミカライズ初挑戦でしたが、原作・星崎先生とデザイン担当・あるや先生が作り出した世界が魅力的なので長くご愛顧いただける作品になりました。主人公の能力は決して無双するような戦闘向きの力ではありませんが、まっすぐな性格と交渉や奇策で切り抜ける機知は見どころのひとつですね。妹との再会で今後ラブコメ部分が加速すると思います。
――長く連載を続ける苦労やコツなども聞きたいです。
ヤツタガナクト:自分は若い頃に色々な技法やプロの現場などの経験を積んだことで、「描けるもの」が増えました。これが作品を作る自信に繋がっていると思います。今は体調を崩しやすくなっていて、健康の大切さを身に染みて感じています。
――今後はどのような作品を描いていきますか?
ヤツタガナクト:まずは担当作品を完結まで続けたいですし、自分のオリジナル作品も少しずつまた描いていきたいです。あとは3Dなどの新しい技術を勉強したり昔の漫画で使われていた表現を現代で試してみたり、「描けるもの」を増やしていきたいと思います。
漫画技法の分析と再構築をしながら、時代に関係なく手軽に読めるような作品をもう少し残せたらなと。