【漫画】公園に“あるとびっくりする”遊具とは? 図らずもリフレッシュ『海辺の公園』
海の生き物と公園の遊具が融合した不思議な世界観、そして海辺の街特有の空気感を描き出した漫画『海辺の公園』。主人公はヒトデ、イソギンチャクといった海の生き物がモチーフの個性的な遊具に出会っていくなか、とある規則性を見出す。果たして最後に登場する遊具はどのようなものなのかーー。
本作を執筆した背景には、作者・朝和さん(@asawa96)の遊具へのこだわりと、実在する街への憧憬があった。遊具のモチーフについて、街の空気感を表現するために意識したことなど、話を聞いた。(あんどうまこと)
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ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
朝和:本作を制作したのは2024年の2月頃です。多くの遊具を扱うことのできる物語を考えていたなか、遊具と海の様子がリンクしていたら面白いかなと思い制作しました。
パートナーが海の生き物に詳しいので、海の深さごとに遊具としてデザインできそうな海の生き物を聞きながら執筆しました。作中に登場する遊具の中で、最初に思いついたのがまんぼうの滑り台でしたね。
まんぼうのほかにも、イソギンチャクは椅子になりそう、メンダコも丸い形なので座れるかもといった具合に遊具のモチーフを決めていきました。チョウチンアンコウの滑り台は実際に似たような遊具があるみたいです。
ーーさまざまな遊具が登場するなか、最後に描かれたのはくじらの滑り台でした。
朝和:くじらは水深の深いところまで潜ることができ、種族によっては深海魚として知られるチョウチンアンコウよりも深くまで潜ることができるんです。登場する順番としては、どんどんと深海へと進んでいく遊具のルールに沿っています。ただくじらの滑り台はなじみ深いものかと思い、非現実的な世界から急に日常的な世界へと戻ってきたことを表現しました。
ーー遊具のある公園を経て海へとたどり着いた主人公が佇む、本作のラストシーンを描くなかで意識したことは?
朝和:主人公の目的は「海を見に行くこと」なので、最後は絶対に海の場面を描きたいと思っていました。
主人公の独白は文字数を最小限に抑えるため「(夕陽に照らされて静かに揺れる海は)とても綺麗だった」と書きましたが、もっとわかりやすくするならば「思った通りの美しさだった」「想像通りの美しさだった」という言葉が近いと思います。
海の風景だけを描くラストシーンもあり得たかと思いますが、海を見ている主人公の表情を描いた方が、海の穏やかな雰囲気が出るかもと思い最後のコマを描きました。
ーー遊具の存在はもちろん街並みの様子、とくに団地の給水塔などの描写から、海辺の街の空気・雰囲気を感じる作品でした。
朝和:背の低い建物や空の広さ、坂道など、海辺の街のシンボルを押さえながら背景を描きました。具体的には函館や神戸の風景を参考にしています。ただ団地はもともと描きたかった要素の1つです。
団地って静かで、建物が白くて、空が広くて、なんだか時間が止まっているような懐かしい感じがするんです。給水塔のようなシンボルを少しだけでも出すだけでも、団地に思い入れのある読者なら記憶と作品の舞台がリンクしやすくなるかなと思います。
私は舞台設定がないと物語を考えることができません。いろいろな風景があるなか、それぞれに街の空気感は異なると思っているためです。「こんな空気感を描きたい」という気持ちは私の漫画創作と直結していると思います。
ーー朝和さんは2026年2月2日より「ふらっとヒーローズ」にて漫画『夢見る街で会いましょう』の連載を開始しました。タイトルにある「街」というキーワードは今のお話と通じるものがあるかと思います。
朝和:『夢見る街で会いましょう』は中華レトロ的ファンタジー作品です。作中では1980~90年代の中国をイメージした街並みを描いています。街の雰囲気を伝えることを頑張った作品であり、第1話は背景をたくさん描いているので、作品の世界観を楽しんでほしいです。
ーー『海辺の公園』や『夢見る街で会いましょう』はデジタルツールではなく紙とペンで描いている?
朝和:『海辺の公園』はスクリーントーンのみデジタルツールを用いています。スクリーントーンは大量に使用するとお金が足りなくなってしまうので……。ただ『夢見る街で会いましょう』は紙とペンなど、すべてアナログツールで描いています。
ーー今後の目標を教えてください。
朝和:『夢見る街で会いましょう』は初連載作品なので、本作の物語をうまく着地させることができるように頑張りたいです。現在29歳なのですが、デビューから連載まで時間がかかってしまったと感じています。漫画家として作品を安定して連載できるように、30代は漫画をどんどん描いていきたいと思います。