オリコン週間文芸書ランキング

大泉洋の主演で話題再燃! 池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』が文芸ランキング急上昇

 2026年1月第1週のオリコン文芸書ランキングは、年始に発売日設定がないため目立った新刊は少なく、引き続き2025年のベストセラーが席巻している状態だった。その中でも急浮上してきたのが第9位にランクインした池井戸潤の『俺たちの箱根駅伝』(上巻・文藝春秋)である。

 同書は『週刊文春』に1年半に渡り連載され、2024年4月に上下巻の単行本として刊行された池井戸の大長編だ。タイトルの通り本作のテーマは「箱根駅伝」。このように書くと駅伝に懸ける若者たちを描いた青春スポーツ小説のように思われるだろう。もちろん、それは間違っておらず、物語の大きな柱として箱根駅伝の古豪と呼ばれる明誠学院大学陸上競技部の模様が描かれる。だが、それだけではない。物語のもう1つの柱として、箱根駅伝の中継を担う大日テレビ・スポーツ局の奮闘が描かれるのだ。

 主要登場人物の1人である徳重亮は、念願の箱根駅伝中継番組のチーフ・プロデューサーを務めることになったものの、就任時から頭を悩ませ続けてきたことがあった。それは大日テレビの編成局長で、社内ではキレ者と恐れられる存在である黒石武から突き付けられた“ある要求”だった。このような具合に同書は箱根駅伝に出場する選手だけではなく、その模様を全国に届けようとする放送関係者の姿も描くことで、箱根駅伝というお正月の風物詩に熱い思いを込める様々な人間たちを活写しているのだ。そこでは「目の前の困難に不屈の思いでぶつかる」という、過去の池井戸作品にも通ずる要素がふんだんに盛り込まれている。

 ところで2024年の単行本が何故このタイミングでランキングに浮上したのか。『俺たちの箱根駅伝』は2025年10月に日本テレビ系列でのドラマ化決定が告知されているが、ドラマの放映予定は2026年10月と少し先である。実は2026年1月4日、つまり第102回箱根駅伝開催直後にドラマの主演キャスト情報が解禁になったのだ。チーフ・プロデューサーを演じるのは大泉洋。箱根駅伝の盛り上がりが冷めやまぬ内のキャスト情報解禁ということで、原作への注目が高まったのだろう。なお、1月21日にはキャストの追加情報として山下智久の出演も発表されている。今年10月の放映に向けて、それこそ襷を繋ぐようにドラマ情報も続々と追加されていくに違いない。それに合わせて、どこまで原作本の人気が伸びていくのかも見守っていたい。

■書誌情報
『俺たちの箱根駅伝 上』
著者:池井戸潤
価格:1,980円
発売日:2024年4月24日
出版社:文藝春秋

関連記事