キムタクが敬意 ロバート秋山、喪黒福造でも怪演 識者に聞く仕事への向き合い方
ロバート秋山竜次が展開する人気企画「クリエイターズ・ファイル」の展覧会が、全国のパルコで大盛況を博していた。実在しそうで実在しない“業界人”を徹底取材したかのように作り込む秋山のなりきり芸は、ファッション誌からテレビバラエティ、YouTubeにまで広がり、今やカルチャーの一ジャンルとなった。
そんな秋山の姿勢に敬意を示したのが木村拓哉だ。バラエティ番組で共演した際に「秋山くんの仕事への向き合い方には本当に頭が下がる」と語り、ネットニュースでも拡散された。さらに、テレビドラマで喪黒福造を怪演した際には「原作超え」とまで評され、芸人の枠を超えた存在感を示している。
秋山が見せる「徹底」の凄み
「クリエイターズ・ファイル」展では、各キャラクターの履歴書や作品集、さらには架空の会社のロゴまで展示され、来場者は“現実と虚構の境界”を楽しむ仕掛けに魅了される。SNSには「細部まで作り込みが狂気的」「秋山の頭の中を覗いているよう」といった感嘆の声が並ぶ。
お笑いライターは秋山の仕事観についてこう語る。「秋山さんは“ボケて終わり”にしない人です。徹底的に作り込み、最後は観客に『本当にいそうだ』と思わせる。そのリアリティを追求する姿勢が、芸人の枠を超えて俳優やアーティストからもリスペクトされる理由でしょう」
実際、秋山はキャラクターの服や小物、しゃべり方まで自ら研究し、現場で即興的に肉付けをしていくという。そのプロセスはまるで俳優の役作りに近い。
「笑い」以上のメッセージ
秋山の演技力が真価を発揮したのが、ドラマでの喪黒福造役だ。藤子不二雄Ⓐの名作『笑ゥせぇるすまん』を実写化するにあたり、秋山は原作の妖しさを残しながらも、自身の持ち味である“人間臭さ”を加えた。その結果、「怖いのに笑ってしまう」「不気味だけど見入ってしまう」という相反する感情を視聴者に抱かせることに成功した。
お笑いライターはこう分析する。「秋山さんのキャラクター芸は、笑わせることを超えて“社会の縮図”を映す役割を持っています。架空の人物を通して“どこかで見たことがある人間像”を突きつけられるから、笑いながらもドキッとする。喪黒福造はその延長線上にあり、芸人としての彼の歩みが役者業にも自然に接続したのだと思います」
木村拓哉が称え、観客が熱狂し、批評家までが分析するロバート秋山。彼の仕事姿勢は、芸人という枠を飛び越えた“ジャンル”を確立しつつある。お笑いライターは最後にこう総括する。「秋山さんの強みは“笑いのために真剣であること”。手を抜かずに徹底するから、ギャグがアートになり、コントがカルチャーになる。今後は芸人でありながら演劇や美術の文脈でも評価されていくでしょう」パルコの展覧会場を埋め尽くす観客の笑顔は、その未来を先取りしているのかもしれない。ロバート秋山は、もはやお笑い芸人という職業名だけでは語り尽くせない存在になりつつある。