『僕のヒーローアカデミア』アニメFINAL SEASONを占う ヒーロー・ヴィランそれぞれの”信念"の行く末は

 テレビアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が10月4日より放送開始。シリーズ第8期にして最終章に突入する本作は、堀越耕平が2014年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始した原作漫画(全42巻・430話)のクライマックスがついに映像化される。

 2024年8月に完結したばかりの原作を今度はアニメーションとして再体験できるとあって、秋アニメの最注目作の一つとなりそうだ。制作はこれまで通りボンズが担当※。公開されたキービジュアルには、ヒーローとヴィランが最終決戦に挑む姿が描かれ、緊張感が漂っている。
※名義は、ボンズが制作部門を切り離した新会社「ボンズフィルム」となっている。

 物語は“個性”と呼ばれる超常能力が当たり前に存在する世界を舞台に、無個性だった少年・緑谷出久(デク)が伝説のヒーロー・オールマイトからワン・フォー・オールを継承し、雄英高校1年A組の仲間とともにヴィランに立ち向かう成長譚。『FINAL SEASON』では、ヒーロー社会全体を揺るがす全面戦争が勃発し、宿命のライバル・死柄木弔との決戦が物語の中心を占める。

 公開されている本PVでは、エフェクトをふんだんに使用したデクVS死柄木の攻防の、迫力ある映像美がファンの間で「神作画」との声も。ワン・フォー・オールを受け継いだ出久と、オール・フォー・ワンの意志を背負う死柄木、互いの“信念”をかけた戦いにふさわしい演出となりそうだ。

 またティザーPVは、“平和の象徴”オールマイトと“魔王”オール・フォー・ワンの壮絶な戦いの決着を予感させる内容。無個性ながらパワードスーツを装備した“アーマードオールマイト”が、若返りによって全盛期の力を取り戻したオール・フォー・ワンに決死の覚悟で立ち向かう姿が描かれている。さらに、爆豪勝己、麗日お茶子、轟焦凍、芦戸三奈など雄英高校1年A組の面々も大きな役割を担う。

 これまでのシーズンでヴィラン側のドラマも深化した。死柄木をはじめ、トガヒミコ、荼毘、スピナーといったキャラクターたちの過去や信念が掘り下げられ、単なる悪役ではないことが強調された。とりわけトガの“好きな人になりたい”という願望、スピナーの差別への抗い、荼毘の壮絶な過去は、「悪とは何か」「正義とは誰のものか」を観客に訴えかけてきた。

 ボンズによる高品質な作画に加え、演出・音楽・声優陣の迫真の芝居が相まって、原作の名シーンがどのように息づくかも大きな見どころ。長年のファンにとっても、これから本作に触れる視聴者にとっても、忘れがたい傑作となりそうだ。

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