『地獄先生ぬ~べ~』ゆきめが人気になった理由は? ぬ~べ~にすべてを捧げた“愛が重い”系ヒロイン

 『地獄先生ぬ~べ~』のゆきめといえば、不動の人気を誇るヒロイン。7月から放送されている新作TVアニメでも第7話に登場を果たし、往年のファンたちが大きな盛り上がりを見せていた。

 そこで本稿では、原作の名エピソードを参照しつつ、ゆきめというキャラクターの魅力について掘り下げていきたい。

 ゆきめは冷気を自由自在に操る妖怪・雪女。単行本(集英社文庫版)の巻末に収録された「メイキング・オブぬ~べ~」によると、当初はゲストキャラの予定だったが、読者から高い人気を集めたことで、レギュラーキャラに昇格したという。またモデルとなった人物として、原作者の真倉翔は原田知世、作画担当の岡野剛は内田有紀と広末涼子の名前を挙げていた。

 そんな彼女が初登場したのは、3巻収録の第30話。突如学校に訪れ、ぬ~べ~の婚約者を名乗る姿が描かれた、

 2人の出会いは5年前にさかのぼり、冬の雪山で村人に銃殺されそうになっていたところを間一髪で救われ、運命の相手と見初めたのだという。しかしゆきめの愛情表現は雪女ならではのもので、彼を氷漬けにして“永遠の愛”を実現しようとしていた。最終的にその狙いは失敗に終わるが、別れ際にはそっとぬ~べ~の唇を奪っていく。

 こうした一途で純真な愛情と熱烈なアプローチこそが、ゆきめ最大の魅力。4巻収録の第49話で再登場した際にも、名シーンが描かれていた。

 同エピソードでは2人が宿直室で“同棲”を体験することになるが、1夜かぎりで喧嘩別れしてしまう。しかしその直後に巻き込まれた火事でゆきめはふたたびぬ~べ~に助けられ、「私はもうあなたしか愛せない」「あなたにすべてをささげます」「身も心も私のすべてを…」と身を焦がすほどの愛情を伝えるのだった。

 その一方、人間と妖怪という種族の違いがあり、“決して結ばれない”という悲恋の雰囲気があったこともファンが応援したくなる理由だった。とくに序盤ではぬ~べ~が学園のマドンナ“リツコ先生”こと高橋律子に想いを寄せていたため、甘酸っぱい三角関係が繰り広げられる。

 6巻収録の79話では、座敷童の力でぬ~べ~がリツコ先生とデートを行う展開に。2人を陰で見守りながら嫉妬心を爆発させるゆきめの姿はとてもかわいらしく、まさに王道のラブコメヒロインといった風格だ。

 とはいえ、その後も2人の恋路は決して簡単には進まない。8巻収録の110話ではゆきめの純粋な想いがぬ~べ~の心を動かし、両想いになるものの、妖力を使い果たして消滅してしまう。ところがしばらく後のエピソードで、別の人格をもった状態で復活を遂げると、雪の結晶に残っていた元のゆきめの人格が徐々に蘇っていくのだった。

出会いから結婚、そして“その後”の生活まで……

 そのほか、バリエーション豊かな衣装もゆきめの大きな魅力。左前の着物姿に始まり、カジュアルな私服姿やセクシーな水着姿などさまざまな服を着こなし、「妖怪女子高」に入学する回では制服姿もお披露目していた。

 極めつけは、最終巻で描かれる純白のウエディングドレス姿だろう。さまざまな壁を乗り越えて幸せを手に入れたゆきめの晴れ姿には、多くの読者が感動を誘われたはずだ。

 ちなみにゆきめの出番は本編だけでは終わらず、続編の『地獄先生ぬ〜べ〜NEO』にも登場。“その後”の2人の関係性として、もう1つのドラマが描かれていた。

 そんなゆきめの魅力は、新作アニメでもしっかりと表現されている。登場回の第7話は、原作の30話にあたるエピソードをアニメ化したもので、一途な性格や愛の重さが伝わってくるストーリーとなっていた。もちろん最後には、キスシーンも再現されている。

 声優を担当しているのは、『selector infected WIXOSS』の小湊るう子役や『ひろがるスカイ!プリキュア』の虹ヶ丘ましろ(キュアプリズム)役などで知られる加隈亜衣。原作よりも少々幼めの声色となっているが、ピュアな性格が一段と際立っている印象だ。

 1996年から放送された旧アニメ版は原作の途中で話が終わっており、アニメ化されていないエピソードも多い。新アニメ版でゆきめとぬ~べ~の恋がどこまで描かれるのか、期待するしかないだろう。

 

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