杉浦太陽が語る『とびきりおいしいおうちごはん』の魅力 「子どものみならず、パパも育てられる本」
料理家・野村友里さんの著書『とびきりおいしい おうちごはん 小学生からのたのしい料理』(小学館クリエイティブ)がファミリー層を中心に好評を博している。唐揚げやチーズオムライス、ハンバーグといった定番メニューに加え、皮から作る本格的な水餃子やシェファーズパイに手作りのウスターソースまで、親子で楽しめる40品をバラエティ豊かに掲載。単なる子ども向けレシピ集にとどまらず、命をいただくことの意味や食材の背景にも目を向け、食卓に「おいしさ」と「学び」を伝える。
今回感想を伺ったのは、芸能界でも指折りの料理好きで知られ、家事や育児にも積極的に取り組む4児の父、俳優・タレントの杉浦太陽さん。家庭でのエピソードや自身の思い出を交えながら、本書のユニークな魅力や子どもたちと料理をすることの尊さについて語ってもらった。
子どもに読み聞かせしたくなる!絵本タッチの”読むレシピ”
ひとことで言うと、“絵本みたいなレシピ本”です。レシピ工程を絵本のようなタッチで描いたユニークな一冊で、とにかく絵がめっちゃうまい(笑)。特にウスターソースを作っている鍋の具材の精細な描写には目を奪われました。写真ではなく、あえてイラストで解説することで、子どもたちが受け入れやすい内容にしているんでしょうね。レシピ本でありながら絵本のように読めますから、家庭での読み聞かせにもぴったりです。
卵料理から始まり、徐々に野菜料理に移る構成も見事です。いきなりピーマンやセロリが出てきたら、「うわ!ピーマンきらい!」ってくじけちゃう子もいると思うんですが、卵が嫌いな人ってあんまりいないですよね。卵料理から入ることで抵抗感を少なくするという切り込み方が素晴らしく、子どもたちの心に刺さりやすい構成になっているところに魅力を感じました。
「危ないことを知っておきましょう」の章には、火加減や包丁の使い方が詳しく書かれていています。我が家でも小さい頃から包丁を使わせていましたが、刃物は安全に使えば怖くないっていうことを最初にしっかり教えました。あと実は火が一番怖いので、火と油に関しては特に具体的に説明します。「油いっぱいのところに水入れちゃダメだよ」とか。料理は“触れさせない”のではなく、正しい使い方を伝えるのが大事ですが、この本にはレシピから台所に立つ時の注意点まで、子どもに教えたいことが全て詰まっていますね。
子どもと一緒に実践することで、親の引き出しにも「料理」が入る
一番勉強になるなと思ったのは、巻末の「この本に出てくる色々な切り方」の図解です。千切りも乱切りも小口切りもくし切りも、全部わかりやすいイラストで描かれています。切り方の基礎を頭に入れておくことで応用が効くようになりますから、大人の料理初心者にも役立つ内容です。
料理が苦手なお父さんにもぜひ活用してほしい本です。子どもと一緒に料理を覚えることで、パパの引き出しの中に「料理」が入る。すると、育児や家事への関わり方も自然に広がっていくと思います。例えばお母さんが「ちょっと今日は休憩したいな〜」ってなった時に、お父さんがこの本を手に「今日は俺が作るよ」と台所に立てば、パパも戦力になります。子どものみならず、パパも育てられる本なんじゃないかな。
“知る”ことで広がる、食への感謝と興味
本書の魅力のひとつとして、食材の知識が深まるコラムも挙げたいです。いつも何気なく食べている卵や肉や魚がどこから来ているのかについて、わかりやすく解説しているのがいいですね。豚のバラ肉ってお腹なんだ!ロースは背中なんだ!って。
今は輸入などでいつでもどんなものでも手に入る時代だからこそ、子どもに日本特有の”四季の味”を伝えていきたいと思っているのですが、春夏秋冬で区分した魚の図もいいですね。「この魚は産卵前に脂を蓄えるから、冬が旬なんだよ」といった会話のきっかけになるし。そこで子どもが「もっと調べてみよう!」と自発的に魚図鑑を開くようになれば、“わからないことは自分で調べる”という習慣にもつながりますよね。また、食材の特徴や背景を知ることから感謝の気持ちも芽生えると思います。そういった意味でも、この本は単なるレシピ本ではなく、知識や学びへの扉を開いてくれる教育書のような一冊でもあると感じました。
杉浦太陽さんが「作ってみたいレシピ」をピックアップ!おすすめポイントは?
◼︎厚焼き卵
卵焼きは代表的な和食でありながら、なかなかコツが掴みづらい料理ですが、この本の手順はとてもわかりやすくて成功に導いてくれそうです。僕自身、初めて巻いた時の感動ってまだ覚えてるんですよ。少しずつ巻きながら育てていった卵の焼き上がりを切った時、断面を見て「さっきまで丸かった卵が、ちゃんと卵焼きになってる!」と、達成感を覚えました。
さらに「レシピ通りに作って食べたらおいしいけど、ママやおばあちゃんの味とは違うね?うちの卵焼きはどうやって作ってるの?」「うちのは砂糖が多いのよ」などと親子で家庭の味を再確認するきっかけにもなりそうですね。