怪談和尚・三木大雲はなぜ「未来予言」をするのか? 話題の書『仏教コード』の真意を聞く
科学の進歩が解き明かす「お経」の真実
ーー三木さんは「仏教を科学的/論理的に紐解く」ということもかねてより言われていますが、いまお話に出た漫才や量子力学の講義も含めて、仏教という一般的なイメージとは離れたことも積極的に勉強されていますね。
三木:これも縁だと思うんですが、仏教につながっていくんですよね。ニコニコ生放送で「三木住職の不可思議相談室」という番組をやらせてもらっていたんですが、天文学者の先生と対談する機会があって。「ブラックホールの中に入ったらどうなるか、今はまだわかっていない」というお話が出たのですが、「それ、お経に書いてますよ」と。もちろんお経に「ブラックホール」という言葉は出てきませんが(笑)、その先には別の宇宙があり、数えたら9つになるという「仏国土」のお話をすると、「学会で発表しようと思っていた内容と全く一致しています」と驚かれたんです。
また「大宝積経」というお経のなかには、人の妊娠期間の十月十日、お腹の中でどういう様子をしているかが書かれています。「この時期に声が聴こえるようになるが理解はできない」「この時期になるとある程度理解ができるようになるからあまり悪い言葉は投げかけてはいけない」というようなことが書かれているんですが、これも医学的に一致しているんです。科学が追いついてきているというか。
ーーなるほど。科学の進歩によって、「これはブラックホールのことだったんだ」「胎教のことだったんだ」と解釈ができるようになってきていると。
三木:当時の語彙には限りがあって、ブラックホールも「幽冥」(ゆうみょう)、つまりとにかく真っ暗なところという表現しかできなかった。きっと今後も「ニュートリノはお経のこの言葉だったんだ!」のような発見があると思います(笑)。その先のことは科学者や仏教学者にお任せしますが、私の役目は一時代前には「水と油だ」と考える方が多かった両者をつないで、仏教の信ぴょう性を証明することやと思っています。科学者のみなさまにもぜひ、仏教に目を向けていただければと。
科学も進歩する現代では、信じていたものが全く間違っていた、ということの繰り返しですし、いまは真偽のわからない情報にあふれた時代ですよね。たとえば「ひろゆきさんがこう言っていた!」と信じる人がいて、でもその方が見たひろゆきさんは実はAIで……みたいなこともあるやないですか(笑)。フェイクニュースに惑わされず生きていくためにも、お釈迦様の言葉に耳を傾けていただければ安心だと思います。
不安を抱えているすべての人に
ーー最先端の知見も活用しながら古文書を解読する……と捉えると、『仏教コード』というのはいいタイトルですね。予言もそうですが仏教の基礎的な解説もあり、幅広い層に向けた一冊だと思いますが、特にどんな人に読んでもらいたいですか。
三木:ご家族で読んでいただけるとうれしいですが、特に手に取っていただきたいのは、不安を抱えている方です。お経って、精神安定剤なんですよね。たとえば、私はいまの活動をする中で昨日まで仲の良かった先輩のお坊さんから「お前とは二度と会わへん!」と言われたことがあって、すごいショックを受けました。でもこれは自分が生きる道ですし、お経を読んで、「犀角独歩」(サイの角のようにただ独り歩め)という言葉を胸に頑張ろうと思っていたら、その先輩から「ごめん。お前がちょっと有名になって悔しかってん」という電話があって。お経を読めば心を乱されず、自分が間違っていれば正すことができる。人間関係の不安、経済的な不安、病気の不安など、いろいろな不安をお持ちの方にぜひ読んでいただきたいですね。
もうひとつ、私が希望を持っているのは、三木大雲が死んだあとに誰かがこの本を手に取って「過去にこんなお坊さんがいて、こんなことをやってはったんだ」と、私がいない世の中でも後世につながってくれたら一番うれしいなと思います。現代の語彙では説明できない言葉も、まだまだお経にはあると思いますから。