ガールズバンド漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』『ロックは淑女の嗜みでして』続くアニメ化で期待すること

■『ロックは淑女の嗜みでして』の魅力は?

  当分先になりそうな『ぼっち・ざ・ろっく!』のアニメ2期が待ち遠しい人に、ガールズバンドものの面白さを補充どころか浴びせ倒して溺れさせそうなアニメが、4月から始まる『ロックは淑女の嗜みでして』だ。お嬢様学校に通う少女たちがインストゥルメンタルのバンドを組んで活動するという、あらすじだけ聞けば可憐で華やかな空気感が浮かぶ作品だが、そこは『常住戦陣!!ムシブギョー』のような熱血アクションで評判の福田宏作品だけあって、想像を絶する展開が待ち受けている。

  母親の再婚で不動産王の娘になった鈴ノ宮りりさだったが、ミュージシャンだった父親から教えられたエレキギターを忘れられずにいた。そこに現れたのが黒鉄音羽という、こちらは重鎮の政治家を親に持つ少女。黒髪に笑顔を絶やさない顔立ちのお嬢様として誰から慕われていたが、なぜかギターのピックを廊下で落とし、それを拾ったりりさが行き先を探すと、旧校舎でひとりドラムを叩いていた。

  りりさは音羽に誘われギターでセッションをして燃え上がっていく。そして演奏が終わった後、お嬢様どうしてにこやかに讃え合う、なんてことはまったくなかった。そこでのすやりとりの意外性に打ちのめされた後も、キーボードの院瀬見ティナやベースの白矢環が加わって生まれたバンドで、りりさたちはライブハウスに出るようになっていくなかでやりとりは激しさを増す。

  ロックに対する凄まじいとしか言いようのない情熱がこもった言葉の応酬に心を躍らされ、汗を飛ばしながら楽器を演奏するパワフルでエキサイティングな姿や表情に目を引きつけられる。『ムシブギョー』の頃から変わらない、熱さを激しくてダイナミックなポージングで描いて連ねていく福田の漫画が、読む人をライブの場へと引きずり込んで全身をロックに浸らせる。

  音が聞こえてきそうな迫力の漫画を、本当に音を出さなくてはいけないアニメにする大変さは、『ぼっち・ざ・ろっく!』2期と同様。インストバンドという設定は演奏そのものへの注目も上げさせる。どれだけの音を聞かせてくれるのか。演奏そのものをどのようにアニメで描くのか。そうした関心に、PVではりりさのギターも黒羽のドラムもしっかり応えてくれている。実際に誰が演奏しているのかも気になる。放送開始が楽しみだ。

  ガールズバンドものではクワハリ原作、出内テツオ漫画の『ふつうの軽音部』(集英社)が人気となって、アニメ化への期待も持たれている。高校に入ってギターを始め歌うようにもなっていく鳩野ちひろの成長と、高校の軽音部にありがちな人間関係を描いて共感を誘っている漫画。上手くはないが感動を誘うちひろの歌声を誰なら再現できるかがアニメ化のポイントとなりそうだが、いざアニメ化となればこれぞといったキャスティングが行われるものと期待したい。

  新たに戦線に加わってくるガールズバンドものもある。「コミックアルナ」(KADOKAWA)に連載中の新挑限「ダンジョンバンド」は、ギター、ベース、ドラムのスリーピースでライブハウスレビューを飾った女子高生バンドが、観客ゼロの仕打ちを受けて落ち込んでいたところに雷が落ち、ライブハウスの出入り口が異世界とつながってしまうというストーリー。異世界から来る勇者やモンスター相手に、女子高生バンドが音楽への情熱をぶつけていく展開の先に何がもたらされるのかが大いに気になる。

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