【ライトノベル最新動向】『わたしの幸せな結婚』シンデレラストーリーから異能バトルへ？ 1位となった最新巻に注目
Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング（2025年1月13日～19日）は、1位を顎木あくみによる人気シリーズの最新刊となる『わたしの幸せな結婚 九』（富士見L文庫）が獲得した。1月からTVアニメの第2期が始まって、ヒロインの斎森美世が結婚することになった九堂清霞の母親、芙由が登場して美世への苛烈ないじめっぷりを見せて話題になっている。
もっとも、そこは斎森家で継母と妹からいじめ抜かれた美世だけあって、掃除くらいはお手のものといった感じでこなして芙由を余計に苛立たせる。誠意と実直さが何にも勝る展開と、美世を常に優しく見守る清霞の関係がさらに際立って観る人の心を虜にしているようだ。ランキングには10位まででは最新巻しか入っていないが、放送が進めば原作の既刊を手に取る人が増えて、順位を上げて来るだろう。
1位になった最新巻は、結婚した美世と清霞が九堂家の本家にあたる宮小路家へと赴く展開で、そこに新たな男性が現れ美世を誘ったり、美世が持つ力を狙う動きが起こったりといろいろ動きがありそう。薄幸の少女が幸せを掴むシンデレラストーリーから異能バトルへと向かい国を揺るがす事件にまで発展したストーリーのより一層の広がりに、ファンの期待も高まっている。3月14日発売。
2位は、コミカライズやアニメも人気の伏瀬によるシリーズ最新巻となる『転生したらスライムだった件 22』（GCノベルズ）で、5位にも同じ最新巻の描き下ろしアクリルスタンド付特装版がランクインした。シリーズ累計3000万部という、2010年代から2020年代へと時代が進む中で、ライトノベルの人気がメディアミックス展開であり翻訳や配信を通しての国際展開で世界的になっていることを象徴する作品。最新巻では、主人公のリムル・テンペストが不在の状況で繰り広げられる戦いが描かれる。1月30日発売。
3位は、朝霧あさき『ベル・プペーのスパダリ婚約～「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い！ 1』（SQEXノベル)。異世界召喚からの料理ファンタジー『まきこまれ料理番の異世界ごはん』（アリアンローズ）が人気の作者による新シリーズで、第1回ＳＱＥＸノベル大賞金賞受賞作。ベル・プペー（美しい人形）とあだ名される公爵令嬢のレティシアには、儚げな容姿に反して“スパダリ”として活躍している裏の顔があった。そんなレティシアと婚約したのが「呪いの皇子」と言われるジルベール。異質な2人が出会い近づいていく展開を楽しめそうだ。3月7日発売。
4位は、大森藤ノ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア 15』（GA文庫）。新米冒険者のベル・クラネルがぐんぐんと成長していく本編『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』（GA文庫）と併走して、ベルが憧れる女性剣士、アイズ・ヴァレンシュタインの動静をメインに描いているシリーズだが、この最新巻では、他にも幾つかあるスピンオフも含めた『ダンまち』シリーズでも最大級の出来事が起こる。ダンジョンでも未踏の60階層に挑むアイズや《ロキ・ファミリア》の戦いがメインだが、ページを繰るほどに苛烈さが増して居たたまれなくなる。
10位の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 20』（GA文庫）は、そんな《ロキ・ファミリア》による大遠征と同時期に繰り広げられていた、主人公のベルによるこちらも苛烈な戦いの話。そこで大きく成長して、ダンジョンがある街・オラリオに戻ったベルがアイズたちの大遠征の様子を聞くまでが描かれ、本編と外伝のストーリーがひとつに重なる。この先に何が起こるのか。それはどれだけ過酷なものになるのか。続刊を早くという声が響き渡っている。
6位は川原礫『ソードアート・オンライン プログレッシブ 9』（電撃文庫）。本編の《アインクラッド》攻略をより詳細に描いてくシリーズで、最新巻では第七層のクリアを果たしたものの、代償としてキリトが《夜の民》になって太陽の下で活動できなくなった状況で、新たな戦いに臨む。3月7日発売。『転スラ』シリーズと並んで今なお隆盛のライトノベルを象徴する作品だけに、新刊の予定が出ればこうしてランクインしてくる。
同じことは、佐島勤『魔法科高校の劣等生』（電撃文庫）のシリーズにも当てはまる。7位の『新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち 7』（電撃文庫）は、本編の主人公の司波達也や深雪が卒業した後の魔法科高校に入学した、十文字アリサと遠上茉莉花の日々を描くシリーズ最新巻。ハロウィンで起こる出来事や、登場人物で魔工師を志望している五十里明が憧れの達也から魔法工学メーカーに招待される出来事などを短編で描く。3月7日発売。
