「いつも“正解”をくれる存在」入山法子 GLAYの影響と書籍「GLAY CREATIVE COLLECTON 1994-2024」の魅力

■「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」の魅力

「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」は読んでも読んでも読み切れないほどの大ボリュームの内容だと話す入山氏

——では、「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」について聞かせてください。GLAYデビュー30周年を記念して刊行された書籍ですが、感想を聞かせていただけますか?

入山:「こんな本、出していいんですか?」ってすごく嬉しくなりました。MVやアートワークの制作の裏側もたくさん書かれていて。メンバーのみなさんと距離の近いスタッフの方々の言葉だったり、制作のときのやりとりだったり、こだわりだったり、「こんなことまで教えてもらっていいんですか?」という感じでした。とにかくボリュームがすごいので、読んでも読んでも読み切れないです(笑)。

——初めて知るエピソードもありましたか?

「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」の中面より

入山:たくさんありました。「Winter,again」のMVの長回しの撮影の裏話も面白かったし、「こんなことがあったんだな」って。GLAY側からではなくて、ディレクターの方からのアイデアがこんなにあったことも知らなかったです。私にとってGLAYは年上のお兄さんバンドなんですけど、スタッフの皆さんやアートディレクターの方々から見ると、“若いバンドを育てる”という目線があるんですよね。そうやってアイデアを出し合いながら、毎回私たちを驚かせたり、感動させてくれてたんだなって思いましたね。

——なるほど。特に印象に残っているMVは?

「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」の中面より

入山:たくさんあるんですが、やっぱり「SOUL LOVE」のMVは大好きですね。ああいう柔和な表情、普段の様子が感じられるMVって、ファンにとってはめちゃくちゃ嬉しいと思うんですよ。「笑ってくださってる!」っていう(笑)。仲が良さそうな雰囲気が垣間見えたり、キュンキュンしてました。「MERMAID」も印象に残ってますね。怒りのようなメッセージが込められているし、カッコいいなかにも、いつもと違う感情が見えてくるMVじゃないかなって。

GLAY「MERMAID」

——好きなアルバムのジャケットについてはどうでしょうか?

入山:「MERMAID」「とまどい/SPECIAL THANKS」「Missing You」あたりはスパゲティボックス(初回限定盤のロング・ケース仕様)という縦長のジャケットで発売されていたんです。「GLAYが新しいことをやってる!」って衝撃を受けたし、自分の部屋に並べたり、マガジンラックに入れて眺めてました。あとは「REVIEW II -BEST OF GLAY-」のジャケット。メンバーごとに選曲されていて、ジャケットの色も違うんですよ。どれもカッコいいし、「どの盤から聴こうかな」という楽しさもありましたね。

——クリエイティビティがめちゃくちゃ高いし、新しいことにも積極的にトライしてますよね。

入山:そうですね。音楽シーンのなかでも、GLAYは常に先駆者的なところがあるなって思っていて。コロナの時期の配信ライブの打ち出し方もそうだし、それまで誰もやってなかったことをやってくれて。GLAYのファンの皆さんだけではなくて、音楽が好きな方、アートや映像に興味がある方も、いろんなこと学べる1冊だと思います。

——入山さんご自身も、同じ表現者として刺激を受け取ることも多そうですね。

「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」で影響を受けた「HAPPINESS」のMVの掲載ページ。
それぞれ制作の裏側がしっかりと解説されているのも本書の魅力だ。

入山:同じ表現者なんて、そんなそんな……。もちろん、個人的にいつもいつもパワーをもらっています。GLAYはいつも“正解”をくれる感覚があるんです。以前の曲を改めて聴き直したときに、「こういうふうにシンプルに考えればよかったんだな」と気づいたり、「この曲を聴いてた時期は、複雑に考えすぎてがんじがらめになってたな」と思ったり。それぞれの楽曲のストーリー性、そこに込められた精神性や哲学、その時期の社会情勢を含めて、すごく影響を受けながら過ごしてきたなと思います。新しいアルバム(「Back To The Pops」)も(メンバーがインタビューなどで)“原点に立ち戻って”みたいなことを仰っていて。もともと好きだったものを楽しくやることがいちばんいい、というのかな。私、来年で40歳になるんですけど、「またひとつテーマをもらえたな」と思ってます。

——表現活動の原点を見つめ直す時期に差し掛かっているんですね。

入山:そうかもしれないです。もっとシンプルでいいというか、真摯に向き合っていれば、そんなに言葉を重ねなくてもちゃんと伝わるんじゃないかなと。アルバムに関して言えば、「昔聴いたことがあるような気がする」という感覚になれる曲もあって。

——実際、昔のデモ音源を形にした曲も収録されていますからね。しかも、まだまだ山のようにストックがあるという。

入山:すごいですよね。もちろんめちゃくちゃ努力されていると思うんですが、ずっと新しい曲をリリースし続けているのが素晴らしいなと。ライブもずっと続けていらっしゃって。GLAYの皆さんは「解散しない」と公言してくださっているので、しばらく音楽から離れてしまったり、ライブに行けなくなってしまっても、“落ち着いたらいつでも戻れる”と思っているところもあるんです。でも、それは当たり前ではないんですよね。バンドって、解散することもあるし、メンバーが抜けたりすることもあるじゃないですか。GLAYが4人で活動を続けていて、それは当たり前のことではないし、すごいなって。ずっと活動してくれてると、安心するんですよ。しばらくライブに行けないときも「私は私でがんばろう」と思えるというか。

——しかもバンドとして進化し続けてますからね。4人ともカッコいいし。

入山:そうですよね! この本の撮り下ろしの写真も素敵だし、ファンが喜ぶところをちゃんと撮ってくれてるんですよ。メンバーの指先だったり、TAKUROさんのホクロだったり。ありがたいです(笑)。

■「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」概要

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