アニメのセル画やソフビ人形、約30年でどれだけ高騰? 中国人コレクターが語る“歴史的資料”としての価値

まんだらけが2ヶ月に一度刊行する「まんだらけ ZENBU」には希少な原画やセル画、ソフビなどが多数掲載され、世界中のコレクターが注目している。

世界中に日本のアニメのファンが拡大

 日本の漫画やアニメのファンは世界中に増加している。特にコロナ騒動が発生して以降はNetflixなどの動画配信サイトの契約者が急伸、日本のアニメが世界中で視聴されるようになった。それに伴って増加しているのが、日本の漫画・アニメの原画やセル画、すなわち“直筆モノ”や“一点モノ”のコレクターである。

 もともと、日本人の間でも、熱心なファンを中心にアニメのセル画の人気はあったし、原画やサイン色紙の交換会などは行われていた。しかし、近年になって外国人のコレクターが急増し、オークションに参加するようになってからは、桁が1つ2つ違う金額で取引されるようになったのである。

 参考までに、1997年に刊行された古書店「まんだらけ」の図録「まんだらけ 19」に掲載されたスタジオジブリのセル画の価格を見ると、『魔女の宅急便』のキキが背景付きで2万円、『となりのトトロ』のネコバスが1万5000円となっている。現在、オークションに出品されたら両方とも数百万円で落札されることは確実であろう。

 ソフビ人形も凄まじい高騰を見せている。11月19日放送の「開運!なんでも鑑定団」にバッドボーイズの佐田正樹が『秘密戦隊ゴレンジャー』のソフビ5体を持ち込んだ際は、なんと85万円という鑑定額が提示された。鑑定士の北原照久によれば、「鑑定団」が始まった31年前なら2万円の鑑定額だったというから、その高騰ぶりがよくわかるだろう。

日本のアニメを愛する中国人コレクター

 記者は、中国出身の実業家で、日本のアニメ関連グッズのコレクターに話を聞いた。都内の超高級マンションに住まいを構える彼の部屋には、スタジオジブリを筆頭に、『機動戦士ガンダム』などの人気アニメのセル画がコレクションされている。2019年の放火事件で亡くなった、京都アニメーションのアニメーターが描いた色紙や原画も所有している。彼は満足げにこう語る。

「僕にとってアニメーターは、現代アートのアーティストのような存在。彼らが創り出したものは世界に誇る芸術だと思うし、僕を癒して、救ってくれる存在だから、集めているんです」

 記者が「投資目的でコレクションしているのか」と聞くと、「そうではない」と話しつつも、こうも答える。

「僕がコレクションするのは日本のアニメが好きだから。『ドラゴンボール』や『ドラえもん』はもちろん好きだし、京アニの『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』みたいなかわいい女の子が出てくるアニメも大好き。コレクションは投資目的ではないけれど、正直、数十万とか、数百万円でも安いと感じる。今後、価値が上がる可能性はあるでしょうね」

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