野球漫画「主人公だけ」で仮想日本代表チームを組んでみた「野手・DH編」

■外野手(レフト、センター、ライト)

・三原心平『ストッパー』

水島 新司『ストッパー(1)』 (講談社)

・新見克也『ナイン』

・清作雄『錻力のアーチスト』

・千石うぐいす『泣くようぐいす』

 『ストッパー』の主人公・三原心平は登場作品のタイトル通りリリーフ投手としても活躍したが 投手は数が多いので外野手がメインになる想定だ。投手として心平は迫力不足のため、他の選手を差し置いてリリーフ起用する必要もないだろう。俊足でコンタクト能力の高いオールドスクールなリードオフマンタイプの選手で、強肩で守備範囲が非常に広い。再登場した『ドカベン ドリームトーナメント編』では外野手に専念し、好守備でピンチを度々救っている。

 『ナイン』の主人公・新見克也は心平と同じく俊足が武器のオールドスクールな一番打者タイプ。2023年WBC日本代表の周東佑京のような代走の切り札的ポジションでの起用になるだろう。

 『錻力のアーチスト』の主人公・清作雄は左打ちのスラッガー。ボールを遠くに飛ばすピュアパワーに優れている。守備に関する描写が少ないため守備力は不明。

 『泣くようぐいす』も『Mr.FULLSWING』同様、ギャグ漫画だがご容赦いただきたい。うぐいすはマウンドから投げると140km/hを超える強肩と常人離れした動体視力、鋭いスイングから長打を生み出す強肩強打の外野手。『泣くようぐいす』は脱線も多いが、少なくとも同作者の『幕張』と違い、野球をやっている描写もちゃんとあった。真面目に野球をしてくれれば強力な戦力になるだろう。

  この4人は4人ともセンターなので、ライトとレフトをどうするか悩むところだ。ライトは後で挙げるユーティリティーの誰かに任せ、レフトにはレフトもできる香山をまわすのがベターだろう。レジー・フォスター(『REGGIE』)はアメリカ人のため、今回は選外だが名前だけ挙げておこう。

■指名打者(DH)

・藤村慎一『DH』

森谷耕三『DH(1)』(マガジンハウス)

 プレミア12はDH制なので、DHも挙げておこう。フルタイムDHが主人公の作品は他に見あたらないため、一択になる。

 『DH』の主人公・藤村慎一は元々トラックドライバーで32歳の時に同僚に連れられて行ったバッティングセンターで打撃の面白さに開眼。

  その後、独自にトレーニングを積んでプロテストに合格し、34歳でプロ入りした異色の経歴の持ち主だ。逆風の吹く千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)でバックスクリーンに柵越えを連発する天性の長打力と、広角に打ち分ける技術を持った強打者で、打撃について執念にも似たこだわりを持つピュアヒッターである。トラック運転手時代に培った深視力(物の奥行きを見定める能力)に優れており、ボールを見極わめる目にも優れている。

 『DH』はバットづくりの哲学から周辺視野、深視力の重要性、変化球の変化と回転数など含蓄のある話がたっぷりで1995年連載開始と思えないほど革新的で玄人好みの意欲作だが、残念ながら絶版状態である。筆者は野球殿堂博物館の図書室で読んだのだが、最終巻だけ欠落していた。藤村の守備、足、肩はプロテスト合格の最低限レベルだが、一応レフトとライトも守れる。フルタイムDHの野球漫画主人公など他にいないので、やはりベストはDHだろう。

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