4コマ漫画誌『主任がゆく!スペシャル』休刊 全盛期は社会風刺、ナンセンスギャグ……現代とどうマッチさせるべき?
■現代は4コマ漫画雑誌、冬の時代か
ぶんか社が刊行する4コマ漫画を中心とした漫画雑誌「主任がゆく!スペシャル」が、10月21日発売のvol.194をもって休刊になった。2006年に創刊し、2009年には月刊化。約18年にわたって発行されたファミリー4コマ誌であり、たかの宗美の『主任がゆく!』などのヒット作を生み出してきた。連載漫画の一部はぶんか社の電子書籍サイトなどに移籍する。
4コマ漫画雑誌は芳文社の『まんがタイムきらら』が好調であり、連載作品からベストセラーを連発しているが、それ以外の4コマ漫画雑誌は低調とされる。そもそも4コマ漫画やギャグ漫画というジャンル自体が凋落気味であるという指摘は少なくない。『きらら』の掲載作品も4コマ漫画ではあるもの、実質的にはストーリー漫画のような構成である。
いったいなぜ、4コマ漫画が低調なのか。ひとつは、漫画雑誌の休刊が続いていることである。1990年代ごろまで、漫画雑誌には4コマ漫画が掲載されているケースが多かった。4コマ専業で描いている漫画家も多かった。しかし、漫画雑誌が休刊し、発表の場が失われ、4コマ漫画家を目指す新人も減少傾向にあるとされる。
■メディアミックスが難しい理由
また、4コマ漫画やギャグ漫画は、しばしメディアミックスがやりにくいと考えられている。一般的な家族やおじさんが登場人物だったり、ナンセンスギャグなどの4コマ漫画はグッズを制作しても、爆発的に売れるかというとかなり微妙ではないだろうか。『きらら』の漫画はかわいい女の子が出てくるため、例外的なケースである。
そして、4コマ漫画、特にナンセンスギャグのアニメ化、映像化は難しいとされる。漫画での面白さをアニメでも再現できるとは限らないからだ。しかし、かつては『コボちゃん』など、4コマ漫画発で家族で楽しめるアニメがゴールデンタイムに放送されていたことを考えると、現状はかなり寂しい印象を受ける。
単行本はどうか。これは4コマ漫画の宿命であるが、いわゆるストーリー漫画よりも単行本が出るまでに時間がかかる。連載時のページ数が少ないためだ。それでいて、近年の4コマ漫画は描き込みが増える傾向にあり、ストーリー漫画並みかそれ以上に時間がかかるといわれる。それが漫画家の4コマ離れを起こしている要因という指摘もある。
手塚治虫は、4コマ漫画は漫画の基本と語っている。時事風刺ネタなども多く扱われ、漫画の原点と言っていいかもしれない。4コマ漫画の復権を願いたいところである。