災害相次ぎ、チャリティーオークション増加 漫画業界ではサイン色紙に熱視線「被災地への思い感じる逸品」
■災害相次ぐ日本、盛んに行われるチャリティーイベント
連日のように災害のニュースが報じられ、改めて日本は災害列島であることを実感させられる。今年は1月1日に能登半島地震が発生し、社会を震撼させたが、そんな震災の被災地の復興のためにチャリティーオークションが行われている。
チャリティーオークションが盛んなのがスポーツ界である。プロ野球12球団と日本野球機構は、8月7日~14日と8月15日~21日の2回に分けて、マイナビオールスターゲーム2024出場者・計68名の直筆サイン入りユニフォームや12球団マスコットサイン入りTシャツなどの出品、売上金を能登半島の被災地のために寄付するチャリティーオークションを開催している。
漫画家やイラストレーターの間でもチャリティーオークションは盛んである。現在、「旧尾崎テオドラ邸」では山下和美、新田たつお、ちばてつや、里中満智子、高橋留美子……などの巨匠漫画家が描き下ろした色紙に入札できる「能登・台湾被災地支援チャリティーオークション」を開催している。作品群は9月2日まで「旧尾崎テオドラ邸」で展示されているので、ぜひ足を運んでほしい。
■直筆一点物の魅力
筆者もチャリティーオークションには何度か参加し、実際に色紙などを落札しているが、漫画ファンにとってチャリティーオークションはどのようなものなのだろうか。漫画家のサイン色紙のコレクター歴約40年というベテラン、A氏はこう話す。
「やはり、憧れの漫画家の直筆にして一点物の絵を入手できるまたとない機会であることですね。そのうえ、落札した代金が被災地のために役立てられるのですから、素晴らしいと思いますよ。色紙のイラストも気合が入った作品ばかりで、漫画家の被災地への思いが感じられるものばかりです」
オークションを見て感じるのが、近年、漫画ファンとコレクターが増加している影響で、チャリティーオークションに海外からの入札者も増加し、ますます盛り上がっていることだ。これは、アニメが動画配信で国境を越えて視聴されるようになったことや、日本の漫画が世界で翻訳されて読まれるようになったことが影響していると考えられる。
そして、生成AIの普及により、従来のアナログの技術で描かれるイラストの価値が再確認されていることも大きい。デジタルでも生成AIでもない、人の手によって創造される絵に注目が集まっていることは間違いない。特に、日本には超絶技巧と呼ぶにふさわしい高い画力をもつ漫画家が多く、世界的な評価は今後ますます高まっていくであろう。
■開催自体が意外と知られていない?
ところが、意外にもチャリティーオークションの開催はそれほど大々的に告知されないせいもあってか、開催自体が知られていないことが少なくないという。前出のA氏もこう話す。
「ファンの間でも『えっ、そんなオークションが開催されていたの』と後になって知り、残念がる人もいるんですよ。チャリティーの性質ゆえ仕方ないのかもしれませんが、マスコミももっと宣伝してくれればいいのですが……」
今後も様々な団体によってチャリティーオークションは開催されると思われるので、興味のある人はぜひネットの情報を注視し、参加を検討してほしい。趣味を通じて社会貢献をする道があるのだから、ファンにとってこれほど意義深い機会はないと思う。