「ちくま新書」創刊30周年記念 “問い”をテーマにしたフェア開催へ

 2024年に創業30周年を迎える「ちくま新書」。30年の節目となる2024年9月に全国の書店にて「ちくま新書 創刊30周年フェア」が開催される。

 「読者自身の思索を支援する入門書」を目指し、哲学・思想や社会科学をはじめ、専門家による知見を読者に伝える書き下ろしの新書シリーズとして出発した「ちくま新書」。2024年9月までに1,800超のタイトルを刊行し、累計発行部数は3,200万部を超えている。

ちくま新書 創刊ラインアップ

 90年代後半からの各社の新書創刊ラッシュ(いわゆる「第3次新書ブーム」)の嚆矢といえる取り組みとして、初期のラインアップでは『ニーチェ入門』など、現在でも定番となっている入門書が登場。

 その後2006年には、『ウェブ進化論』が35万部のベストセラーになるなど、
年間販売部数が152万部を超えピークとなった。同じく2006年刊の『現代語訳 般若心経』にはじまる「現代語訳」シリーズからは、ちくま新書の中で歴代最高発行部数となった『現代語訳 論語と算盤』が生まれている。

『現代語訳 論語と算盤』『現代語訳 学問のすすめ』

 30年の節目となる2024年9月には、全国の書店で「ちくま新書 創刊30周年フェア」を実施。時代ごとの問題を色濃く反映する新書ならではの性格を踏まえ、それぞれの新書が投げかけてきた「問い」をテーマに掲げている。

 フェア銘柄それぞれにフェア展開用の店頭POPも用意。各著作がどのような時代的な文脈の中で「問い」を発し、その「問い」が現代といかにリンクしているのかを表したミニ年表を記載している。

フェア展開用の店頭POP
フェア展開用の店頭POP

 

 「ちくま新書 創刊30周年フェア」は8月5日現在、265軒の書店から申込を受けており、9月下旬頃から全国の書店で順次開催予定だ。

■ちくま新書 創刊 30周年フェア書目一覧
001 今村仁司 『貨幣とは何だろうか』 1994年刊
085 阿満利麿 『日本人はなぜ無宗教なのか』 1996年刊
253 石原千秋 『教養としての大学受験国語』 2000年刊
339 山鳥重 『「わかる」とはどういうことか』 2002年刊
377 橋本治 『人はなぜ「美しい」がわかるのか』 2002年刊
415 若桑みどり 『お姫様とジェンダー』 2003年刊
532 高橋哲哉 『靖国問題』 2005年刊
578 四方田犬彦 『「かわいい」論』 2006年刊
619 三品和広 『経営戦略を問いなおす』 2006年刊
814 架神恭介・辰巳一世 『完全教祖マニュアル』 2009年刊
817 本田由紀 『教育の職業的意義』 2009年刊
832 鷲田清一 『わかりやすいはわかりにくい?』 2010年刊
1060 戸田山和久 『哲学入門』 2014年刊
1116 原田隆之 『入門 犯罪心理学』 2015年刊
1126 片山一道 『骨が語る日本人の歴史』 2015年刊
1146 加藤典洋 『戦後入門』 2015年刊
1422 松岡亮二 『教育格差』 2019年刊
1523 湯澤規子 『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』 2020年刊
1567 尾脇秀和 『氏名の誕生』 2021年刊
1600 北村紗衣 『批評の教室』 2021年刊
※展開書目は書店によって異なる

■ちくま新書 橋本陽介編集長コメント
いま、世界はかつてなく複雑化の度合いを増し、全体を見通すことがほとんど不可能になっています。わたしたちの行く末が簡単には見えない状況にあればこそ、創刊の辞に述べられている「自らの頭で考えていくこと」の重要性が高まっています。ただし、自分の頭で考えるためにはなんらかの手掛かりは必要となります。その手掛かりとなるような一冊をこれからも刊行していきたいと思います。

関連記事