「アナログで描けるのは最大の武器」人気アニメーター・西位輝実のXが話題 投稿の真意を聞く

アナログだからこそ感じられるもの

――西位さんが考える、アナログイラストや手描きの魅力はなんでしょうか。

西位:たぶん、アニメーター、特に作画監督や総作画監督って、もっとも他人の絵を見ることが多い仕事なんですよ。同じ作品なのに、描き手によって全然絵が違うものがあがってきて、それを見るのはとても楽しいんですよね。性格や性質、気質までよくわかるというか。ずっと一緒に仕事している人の絵なら、体調やメンタル、その時のやる気、眠気や集中具合などもわかったりします(笑)。

――まさに、アナログならではの醍醐味ですね。

西位:デジタルだと、なかなかそこまでは読み取れませんからね。絵から人間の性質や性格が見えるのはアナログの魅力だなと思いますね。生成AIの話が議論になっていますが、それとは別に、もっともっと、オタク系クリエイターの中からアナログで描くという人も増えるといいなぁと思っています。私は作品を見るのが純粋に楽しいので(笑)。

――アナログで描けることが武器になる場面は、どのような例が考えられますか。

西位:むしろ、今後そういった機会は増えるでしょうね。いつか生成AIから違法性がなくなって、普通に使えるようになれば、逆に人の描いた一点ものの価値はあがるでしょう。「一点ものを所有する」という価値の上昇に伴って、アナログのオタク系イラストも美術品のような扱いになっていくかもしれませんね。現在はまだその途上ですが、やがてそうなると良いな、と思っています。

 

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