【漫画】魔王が考える「最後の晩餐」になぜキュンとする? 異世界ファンタジーなのに共感してしまうSNS漫画

――このエピソードは『魔王様はあいまで知りたい。』の3話に当たりますが、こちらを投稿した理由から教えてください。

益田学昭(以下、益田):友人や担当編集の方からも評判がよかったですし、自分でもいい回にできたという手応えがありました。魔王様とエレナさんが楽しく話している様子を描くことがシリーズのテーマなのですが、会話の流れが気持ちいいなと。この話をXに投稿した理由もそれですね。

――テーマの着想はどこから?

益田:漫画は非日常を描くものだと思うのですが、僕は小気味のいい日常を描くのが好きでした。恐らく中川家さんやジャルジャルさんなどの漫才に影響されたのもあると思います。

 普通に生きていたら日常に楽しいことは多いはずで、そこを切り取りたいんですよ。だから本当はただ女子高生が喋るだけのストーリーもいいと考えていたのですが、もっとキャッチーかつ、しょうもない部分も含まれている話がいいということでアイデアが浮かんだんです。

――日常を見つめることは現代において大事な気がします。

益田:以前書いた読み切り漫画『オニはそこ!』で仕事に翻弄される女性を書いたら「ブラックすぎる!」という感想をいただきました。ご自分の境遇と重ねてしまって笑えなかったみたいなんです。リアルすぎると面白くないと。やはりそういう時代なのかもしれません。

 電車でもスマホを触ったり、音楽を聴く人が多いじゃないですか。自分も以前はそうでしたが外してみたら、話し声や窓の外の風景が面白くて色々な発見がありました。先日も電車内の女子中学生の会話が不思議で笑いましたね。少し周りを見渡せば、面白いことは転がっているんですよ。

――また作中のキャラクターの表情やしぐさもポイントですね。

益田:いかに可愛く描くかはこだわっています。可愛くないと漫画としても面白くないと思うので。同じシーンでもカメラの位置をズラして書き直したり、もっとよくならないかと試行錯誤していますよ。

――そして『魔王様はあいまで知りたい。』単行本1巻も3月に発売されました。

益田:自分の漫画が初めて刊行されたことに対して感動しましたね。好きな漫画が並んだ本棚の片隅に自分の作品がある、ということが感慨深いですよ。本屋さんでも平積みにして展開してくれている店があって嬉しかったです。ようやく発売されたことを実感した経験でした。今はデジタルで漫画を買いますが、青春時代は新刊を楽しみにして本屋に通っていましたから。

――今後の連載はどう展開していきますか。

益田:目指しているのは『サザエさん』のような作品。いつまでも時間が経過しない、でも笑えて平和に読める漫画にできれば。あとは何よりも自分が楽しんで描いて、それを皆さんにも楽しんでもらえたら最高ですね。

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