プロレスラーにとって真の「プロ」とは何か? 53歳の現役レスラーが見つけた、人生で大切なこと

 現在のTAJIRI選手が九州の地で思うままに生きることができているのは、30年という現役期間の間にやりたいと思うことをやり尽くしたからだという。その達成感があるからこそ、プライドを捨て、現在のプロレス業界の動きにも流されず、泰然とプロレスの根底そのものを面白がることができていると、本書には書かれている。

 あくまで現役でありながら、後進を育てつつ自らの仕事をちゃんと面白がる……。理想的な50代の仕事のありようではないだろうか。現在37歳、仕事人生のおよそ1/3程度を消化したくらいの年齢である自分にとっては、この先ちゃんと達成感を得て、こんな理想的な形で仕事に関わることができるだろうか……という問いも湧いてくる。

 だがしかし、そんなことを自分に問うている場合ではない。なぜなら、「達成感」を得るためのノウハウ、いかにしてTAJIRI選手がそれを得たかについては、本書の中にしっかり書かれているからだ。余さず読み自分の仕事にフィードバックし、よりよい仕事とは何かを考えながら働き、満足のいく生活を送る。読めば「プロの仕事」についての知見、そしてプロレスの面白さが染み入る一冊である。プロレスマニア以外の方にも、広くオススメしたい内容だ。

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