イラストレーター・漫画家を狙う詐欺がSNSで頻発……警鐘鳴らす洋介犬に聞く、巧妙な手口と騙されない対策

 

『反逆コメンテーターエンドウさん』(洋介犬/著、KADOKAWA/刊)。洋介犬はホラー作品だけでなく、こうした社会問題を風刺した作風の漫画も多数発表。既刊1~2巻。

■詐欺のニュースが多すぎる

  非常に物騒な世の中になったものである。最近、とにかく詐欺に関するニュースが多すぎるのではないだろうか。高級腕時計の所有者を狙った「トケマッチ」の詐欺事件が社会を騒がせているのが、詐欺師はありとあらゆるジャンルに存在し、虎視眈々と狙いを定めている。筆者の周りを見てもわかるのだが、「自分は絶対に詐欺師になんて騙されない」という人ほど騙されるパターンばかりなので、警戒が必要である。

 さて、昨今SNS上に蔓延しつつあるのが、イラストレーターや漫画家を狙ったコンサルタント・情報商材詐欺である。具体的には、SNSなどから「〇〇しながらでも稼げる」などと謳ったメッセージを送り、誇張もしくは嘘の実績を挙げて巧みに勧誘、最終的には高額のコンサルティングのコースに誘導していく……というものだ。昔からよくある詐欺の典型といえばそうなのだが、知識のない若手は引っかかってしまう可能性が高い。

 それにしても、イラストや漫画はかなりニッチなジャンルに思えるのだが、なぜ、こうした詐欺が横行しているのだろうか。ボランティアでその実態を調査し、実際に被害者からの相談にも応じているのが、ホラー漫画家で日本漫画家協会の参与も務める洋介犬である。SNSで頻発するトラブルの実態を聞いた。

■イラスト・漫画関連の詐欺が横行!?

――実は、私が知る漫画家のもとにも、こういった怪しいコンサルティングのメールが届いていたそうです。洋介犬先生はいつごろから、イラストレーターや漫画家を狙った詐欺の話を聞くようになりましたか。

洋介犬:具体的に訴えがこちらにあったのは、最近のことですが、実はイラストレーターさんやブロガー漫画家さんの間では、かなり以前から問題視されていたらしいのです。対処と気付きが遅れたことは痛恨でしたが、その後は迅速に対応させていただいております。

――洋介犬先生のもとに相談が寄せられるのは、日本漫画家協会の参与であることも影響しているのでしょうか。

洋介犬:日頃から僕が漫画のギルド(互助サークル)を準備していることや、作家メンタルケアの必要性など、業界の諸問題についてXで発言しているため、相談を持ちかけられることが増えました。これは日本漫画家協会の活動外のことではありますが、役員(参与)であることも関係しているかもしれません。

――詐欺の具体的な手口はどんなものですか。

洋介犬:大きく分けて2つあります。「ダイレクトメールを送ってきて、コンサルタントやプロデュースを申し出てくる」と「SNSのアカウントで成功例を誇示し、その技術を教えるスタイルで高額情報商材に誘導する」というパターンですね。最初は無料プレゼントをチラつかせてLINEの公式アカウントやZOOMに誘導し、そこから数万円~40万円ほどの高額商材への勧誘を始めるようです。なお、LINEの公式アカウントでの情報商材売買は規約違反です。

――それは相当に巧妙ですね……

洋介犬:ひどいものでは、かなり初期から自己啓発セミナーへの誘導を始め、「会って欲しい人がいる」などと言葉巧みに囲い込みを開始するようです。

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