なぜ、毎日の散歩が創造性を高める? 作家・島田雅彦による画期的エッセイ刊行

 作家・島田雅彦が新刊『散歩哲学 よく歩き、よく考える』(ハヤカワ新書)を今月21日に刊行する。新橋の角打ちから屋久島の超自然まで、散歩を愛する作家が歩き綴った画期的エッセイとなっている。

 直立二足歩行の開始以来、人類は歩き、地球に広がった。ルソー、カント、荷風らもまた歩き、得られた洞察から作品を生んだ。忙しさにかまける現代人に必要なのは、ほっつき歩きながら考える「散歩哲学」だ。

 帯の推薦文は國分功一郎(哲学者)。「私たちが失ってしまったのは、歩きながら哲学した古代の精神だ。文学、思想、人類史、自然学、考現学、地理学……散歩をしながら様々な思考が頭の中を駆け巡る」と評している。

■本文より
「昔から思索家はよく歩く。哲学者然り、詩人然り、小説家然り、作曲家然り……よく歩く者はよく考える。よく考える者は自由だ。自由は知性の権利だ」

 「心にゆとりがないと、ヒトは気宇壮大なことは考えられないし、未来を設計したりもできない。一個の脳で考えられることには限界があり、他人の脳味噌を借りる必要がある。本日も初めて訪れる街や見知らぬ他人からインスピレーションをもらうために徘徊に出かける。お供がいなくても、本書があなたの手を引く」

豪華トークイベント開催

 さらに本書刊行を記念したトークイベント(リアル/オンライン)が3月15日(金)にジュンク堂書店・池袋本店で開催。著者・島田雅彦とアナキズム研究者・栗原康が「万国の散歩者よ、団結せよ!」をテーマに対談する。「目的もなくほっつき歩くこと」がもたらすインスピレーションから、アナキストたちの散歩、人間の権利としての「移動の自由」、おすすめの散歩コースまで、「万能のアクティビティ」としての散歩を縦横に語り合う。

■開催概要 
日時:2024年3月15日(金) 19:30~21:00 
場所:ジュンク堂書店池袋本店 4階MJカフェ または ZOOMによるウェビナー 
登壇者:島田雅彦、栗原康
申込みページ:https://online.maruzenjunkudo.co.jp/products/j70019-240315

■プロフィール
島田雅彦(しまだ・まさひこ)
1961年生まれ。作家。法政大学国際文化学部教授。東京外国語大学ロシア語学科卒。1983年『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、『虚人の星』で毎日出版文化賞、『君が異端だった頃』で読売文学賞を受賞。近作に『空想居酒屋』『パンとサーカス』『時々、慈父になる。』など。2022年紫綬褒章を受章。

栗原康(くりはら・やすし) 
1979年埼玉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。東北芸術工科大学非常勤講師。専門はアナキズム研究。著書に『超人ナイチンゲール』『はたらかないで、たらふく食べたい』『大杉栄伝 永遠のアナキズム』『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』『サボる哲学 労働の未来から逃散せよ』ほか。

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