ジャンプ『暗号学園のいろは』連載終了に「続編」願う声続出……なぜ熱狂的ファンが急増?

奇跡の復活を願うファンたちが多数

  夕方多夕はいかにも“西尾ワールド”全開のキャラクター造形で、意外な伏兵が実は最強だった……というパターンは〈物語〉シリーズや戯言シリーズ、『刀語』などで幾度も変奏されてきた。また匿名希望の立ち位置に関しては、『めだかボックス』の人気を決定づけたジョーカー的存在・球磨川禊を髣髴とさせるところがある。

  この2人が本格的に活躍し始めた『暗号学園のいろは』の中盤以降は、まさに西尾維新の真骨頂。“暗号”という一見とっつきにくい題材から始まった同作が、ようやく軌道に乗った形だった。SNS上でファンたちが大きな盛り上がりを見せたり、『週刊少年ジャンプ』誌上の掲載順が浮上したりしたのも、こうした時期のことだ。

  今でもSNSでは多数のファンアートが生み出されているのだが、そんな矢先に連載が完結を迎えたことで、やはりショックを受ける人は少なくない。『少年ジャンプ+』などで続編が掲載されることを望む声も多数上がっている。

  実際に同作のストーリーが、大いに“余白”を残したまま終了を迎えたことは否定できないだろう。ただ、その幕引きは実に美しいものではあった。

  同作の「暗号」はたんなる知恵比べの手段ではなく、戦争と不可分に存在するものであり、物語を通して「世界中の戦争を停める」という絵空事のように思えるテーマが掘り下げられてきた。最終章となった「暗号学園メタバース編」、そしてその後のエピローグでは、このテーマに対するどこまでも誠実な結末が用意されていたため、美しい終わり方だったと言うこともできるはずだ。

  なお同作の単行本6巻は3月、最終7巻は5月に発売される予定とのこと。まるで『めだかボックス』の「十巻以上続くコミックスは惰性」という名ゼリフを有言実行したような物語のボリュームだ。とはいえアレコレ理屈をこねたところで、実際には“惰性でもいいから続編が読みたい”というのが、ファンたちの正直な気持ちかもしれない…。

関連記事